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どこを訪れ、何をして遊び、何を観て、何を食べるか。そんな古くからの旅の楽しみに加え、どのホテルに滞在するかに最も重きを置く人たちがいる。いくら旅が非日常を楽しむためのものであったとしても、 自らが確立したライフスタイルの延長として旅をとらえるこだわり派なら、そうするのも当然のことだろう。お気に入りの旅行鞄に、お気に入りの服と靴、大好きな作家の本と愛用の日用品を詰め込んで、お気に入りのエアラインで現地に飛ぶ。そんなこだわりを持ったならば、その先にはやはりお気に入りのホテルがあってほしい。例えば、「W BALI SEMINYAK RETREAT & SPA」のような。

バリ島でいま最もホットな商業エリア スミニャックに佇む
南国のリトリート リゾートへエスケープする


2012-09-03_111843バリ島の中でもお洒落で人気のショップが並び、注目を集めている商業エリア、スミニャックの中心地からメインエントランスをくぐり、長い長いアプローチを抜けると、やっと「W BALI SEMINYAK RETREAT & SPA」が見えてくる。ここは、ラグジュアリーなデザインホテルの先駆者的存在ともいえるWホテルのリトリート。オープンエアーのロビーに一歩足を踏み入れると、ここがバリ島だと感じるよりもむしろ、「W BALI」なのだと実感することだろう。空間を占めているのは、バリ島によくあるアジアンテイストのホテルとは一線を画す、都会的でスタイリッシュなデザイン。聞こえてくるのはガムランではなく、クラブ系の心地よいサウンド。ゲストたちは到着した瞬間から、感性を刺激されるような快い興奮を覚えるはずだ。
2011年の3月に、注目のエリア、スミニャックにオープンしたこのリトリートの特徴は、伝統的なホテルの信頼と快適性に、モダンなライフスタイル、リゾートの開放感が融合しているところ。この14年、ホテルビジネスのトレンドセッターとして台頭してきたWブランドの遺伝子を感じるしつらえだ。部屋はもちろん、パブリックスペース、ホテル内の各施設には強いこだわりが反映されている。すべてはスタイリッシュでありながら快適。新鮮でありながら心地よい。そのこだわりは、ホスピタリティにおいても変わらない。

洗練されているのに、温かみがあるサービスは、スタッフが共有している“ゲストに、エクストラオーディナリーな経験を提供したい”という確固たるこだわりから生まれている。「Wホテルは、他のどのホテルとも違います」と話すのは、「W BALI SEMINYAK RETREAT & SPA」のジェネラル・マネージャーであるクレイグ・シーワード氏だ。「“ホテルはホテルに過ぎない。どこも一緒だ”と思う方もいるでしょう。でも、私たちは、ゲストに快適に過ごしていただくことはもちろんのこと、“WOW”と驚いて笑顔になっていただくために様々な仕掛けをしているんです」
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彼が言う仕掛けとは例えばこういうことだ。朝、食事をとりにオール・デイ・ダイニングのグリルレストン「FIRE」に出かけると、席に案内される前に、エントランス付近の棚にずらりと並んだコーヒーカップから好きなものをひとつお選びくださいと言われるのだ。「コーヒーカップには個性が表れます。ですから、カップ選びには人柄が反映されるんです。実は、ゲストの中には滞在中に同じカップを選んでいるうちに思い入れが強くなってしまい、カップをぜひ譲って欲しいとおっしゃる方もいらしたほどです。ゲストに自らカップを選んでいただくことで、より積極的にWでの滞在に“参加”していただく。サービスを一方通行にせず、インタラクティブにしているんです」客室やそのほかの施設にある窓に描かれた、翼を持ったブタの絵(写真右下)にも秘密がある。「これはバリ島で行われる影絵芝居にも登場するブタがモチーフになっています。ブタはもともと飛べませんよね。そのブタに翼をつけることで、不可能なことはないという意味も込めています。これはサービスに関するメッセージでもあります。ゲストの要望に“NO”と言わないということなのです」
2012-09-03_114837決して一辺倒ではないユニークな演出は、確かにどこのホテルのものとも違う。バスルームには、おどけた様子のカエルのソープディッシュが置かれている。その横には、子ガエルまで。最初に部屋に入った時、思わず笑ってしまう人も多いだろう。実は、こんな仕掛けこそがWを別格に押し上げている。「エレベーターに敷かれたマットは、“GOOD MORNING”“GOOD EVENING”“GOOD NIGHT”と時間帯によって違うあいさつが書かれたものをセットしています。これに気づいたお客様から、こんなことまでしているんですかと驚かれたことがあります。確かに、ちょっとした手間ではありますが、こういったことが、お客様を笑顔にすると信じていますから、決して大変ではありませんし、決して小さなことではないと思っています。こういった細部こそが大きな違いを生んでいるんです。違いは、細部にこそ宿るのだと信じていますから」 そんな細部を生んでいるのはひとえに、Wホテルに息づいた“もてなす喜び”と“粋な遊び心”。これこそが、Wでの日々を、単なる滞在から、何にも代えがたいエクスペリエンスに変えているのだ。
ロケーションによって違ったストーリーを語っているというWホテルだが、それは「その土地が持つ豊かな独自文化を尊重しているからです」とのこと。「『W BALI SEMINYAK RETREAT & SPA』では、バリのヒンズー文化が持つ、“陰と陽”の思想を表現したデザインが随所に施されています。スタッフたちのユニフォームは、バティックプリントが表に使われているもの、裏地に使われているもの、ほんの一部にのみ使われているものなどそれぞれ。ユニフォーム自体が陰と陽を表現しているのです。また、一部の部屋のバスルームの天井には、シェイドがあり、空が見えたり隠れたりする仕様になっています。このように、W独自の解釈で、バリの文化をデザインに落とし込んでいるのです」
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知れば知るほど、随所に施された仕掛けを発見する楽しさにはまってしまいそうだ。こんなエクスペリエンスの数々に魅了され、開業からわずか1年半にして、すでにリピータも増えているという。
「カナダからのゲストで、1年に8回いらして頂いた方もいらっしゃるんですよ。また来たいと思っていただけるのは本当に光栄なことです。これもひとえに、テーラーメイドな滞在経験を楽しんでいただけたからだと思っています」 常に旅先で新しい出会いを求めるというのもいいだろう。だが、このホテルがあるから、あの地へ行く、そしてお帰りなさいと言ってもらう。そんなお気に入りのホテルを持っておくというのも、大人の贅沢なのではないだろうか。

(text by Jun Makiguchi) 

>>W BALI SEMINYAK RETREAT & SPA Vol.2へ続く

info

Wリトリート&スパ バリ-スミニャック
(W Retreat & Spa Bali Seminyak)


住所:Jl. Petitenget, Kerobokan, Seminyak 80361
Tel: 0361-4738106
チェックイン / チェックアウト:15:00 / 12:00
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