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ニューヨークのモード界では今、アジア系デザイナーたちがちょっとした旋風を巻き起こしている。細かな配慮とデザインに対する真摯な姿勢で、実際に日常生活で活用できる粋なリアルクローズを発表。消費者のニーズを敏感に察知するセンスと、ビジネス感覚をバランス良く持ち合わせ、服作りもビジネスも堅実に進めて行く。そんな要素が、彼らを成功に導いているようだ。

2013-05-28_112335その代表格が、今ニューヨークのファッション・シーンで注目を集めるタクーン・パニクガルだ。独自ブランド「タクーン」を誕生させるまでに歩んだ道が少し変わっていることも、ちょっとした話題になっている。タイ出身の彼は、11歳で家族と共にアメリカに移住。ボストン大学でビジネスを学び、卒業後はJ.クルーに入社。ここで、生産やマーチャンダイジングを学んだ後、『ハーパース・バザー』でファッションエディターとして働く。そして4年後の2004年、デザイナーに転身した。家族が縫製の仕事をするのを見て育った彼は、もともと服作りに興味を持っていたという。 コレクションデビューとなった2005年の春夏コレクションは、わずか10ピースほどの作品を組み合わせ、魅力的なスタイリングで見せるというシンプルなものだったが、US版『ヴォーグ』の名物編集長アナ・ウィンターの目に留まり、ほとんどの作品を持ち帰ったことが業界の噂に。一気に注目を集めることとなった。

(写真右)タクーン・パニクガル

そんな「タクーン」で、お目見え以来ずっと貫かれている特徴が、“組み合わせ”。モチーフやジャンルをミックスさせ、全く新しいコンセプトを打ち出していく。独自の表現に欠かせないのは、素材へのこだわりだ。チュールにチェーンを縫いこんだり、ツイードにメタルを織り込んだり、生地を幾重にも重ねたりと新素材を生み出しては、スパイスとしてデザインの斬新さを加速させている。

3最新コレクションでも、その精神は顕著に表れている。ユニークな素材を打ち出しつつ、タクーンらしいギャザー使いやコクーン型のフォルムといったお馴染みの要素に溶け込ませる。異素材のミックス、素材とフォルムの意外なミックスが、パンクとクラシカルなテイストの組み合わせというコンセプトに奥行きを与え、大好評を博した。ヘアは、スタジオジブリのアニメ『千と千尋の神隠し』の湯婆婆からインスパイアされたスタイルで統一。アジア人が持つ年輩者への敬意を潜ませた。

(写真左)一躍注目を浴びた2005年の春夏コレクションより

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2013-05-28_112312アジアの礼儀正しさと、欧米の大胆さを併せ持つタクーン・パニクガル。彼の強力なパートナーは、スタイリングを手掛けるティナ・チャイだ。彼女は多くのセレブリティも顧客に持つ人気スタイリスト。『ハーパース・バザー』の元同僚で、タクーンがコレクションをスタートする際に、その話を打ち明けた数少ない人物の一人。彼のデザインを真っ先に見たティナが、自らスタイリングを手掛けたいと申し出たことから、強力コラボレーションが実現したのだ。

二人のコラボはこんな風に進む。まず、コレクションをある程度まで制作したタクーンが、ティナに意見を求める。次に、彼女がコーディネートを考えながら、色味やアイテムの追加についてアイディアを出す。ショーのヘアメイクのアイディアもティナが提案。ミニマルなデザイン、マスキュリンな要素を好むタクーンと、女性が求めるもの、ガーリー&フェミニンなテイストを知るティナとのコンビが、美しいルックを生み出しているのだ。

(写真右)最新の2009年春夏コレクションより。女性の体を優しく包み、タクーンなりの“女性らしいセクシーさ”を表現した

有名モード誌の元ファッションエディターが作るだけあり、トレンドを的確に捉えた服に定評がある「タクーン」。ハイエンド系のブランドながら、GAPやピープルツリー、ホーガンなど、幅広いターゲットを持つブランドとのコラボレーションが多いのも、デザイナーの感性と顔の広さゆえだろうか。服以外では、イタリアのアレック ポールと組んでサングラス「タクーン バイ アレック ポール」を展開中。コレクション用にマノロ・ブラニクと靴をコラボ制作することもあるが、こちらは大好評ながら販売はされていないのが残念だ。だがこれも、「タクーン」の世界観が可能性に満ち、まだまだ広がる余地が持っていることのひとつの証拠。今後どのように展開していってくれるのかも楽しみだ。

text / june makiguchi
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