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21世紀の女性はどんな輝きを放っているだろう? 環境に応じて、その時々の役割において、責任ある行動と愛情表現を巧みに使い分ける女性たち。男性はどのようなまなざしで女性を観察しているのか? 女性を美しく輝かせる男性たちの今後の役割とは? パリで生活する3人の勇士たちへのインタビューを通して探っていく。

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2013-05-28_180328ますます、複雑化してくる時代でしょ。僕個人としての「女性観」を述べる前に、まずは世界状況からとらえないとね。経済的にも見通しがつかない昨今、全てのことに歯止めが効かなくなってきて、男はどんどん疲れてくる。それに反して、資本主義先進国では、女性はますます独立していく。逆の動きとしては、宗教的に「女性を閉じ込める」風潮もあるでしょう。

veritaの読者層は、資本主義先進国で生活していらっしゃる「独立した女性」。ただ、女性が自由になる反面、男性には枠組みがなくなるから、どのように接していいのか分からなくなる。それにもまして、情報社会に加速がかかると、「実際に女性に触れる」ことが怖くなるという状況もでてくるでしょ。妄想の女性という存在が一方であると思う。男にとって分からなくなるのは、女性が多面化しているからではないかな。

僕はアーティストとして、物質として色を扱っているけれど、今の若い世代は、あまり物質にこだわらない。色も見本帳以前の問題で、数字で割り出してしまうケースもある。これを、男女関係に置き換えてみると、男女間にエニグマ(謎めいた部分)がなくなってくるから、すぐに飽きがくる。女性が性的でも欲望でもない対象になってしまう。とりわけ、女性はパートナーや社会状況に応じて、安定することが難しくなる。けれど、女性は、より魅力的になる努力と優しさを持ち続けてほしいな。

いづれにしても、カップルとして生きることは大切。 科学的に立証されているようだけれど、遺伝子的にカップルは3年半持てばいいそうで、一人の女性だけに性的欲望を持っていると、オスは駄目になっていくそうだよ(笑)。 男女ともコミュニケーション技術を磨き、女性も世界の動向により関心を抱いてほしい。 男性と対等に話ができるような女性が意外と稀でしょ。

色々と話したけれど、男はいつも観察をしているから、一人一人の女性に魅力を感じる(笑)。


ペーパーにアクリル性ペイント 2008年 無題 75 x 105 cm ©Galerie Maeght

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先日、スイスに住むユダヤ人富豪の結婚式に招かれてね。新郎新婦は、愛について「同じ方向を見る」と言っていた。家族を増やしてこそ、成功する。これは、ヨーロッパではいまだに根強いよね。生活環境の異なる2人が、最初は惹かれることで結ばれても、持続させるためにはお互いに共有できる柔軟性が必要なんだよね。

10年も経てば人間は変わる。
国際結婚をして仕事バリバリの日本人女性が、「20年も結婚生活をすれば、子供も成長するし、夫婦でいる意味もなくなる」って言って、「20年タイムリミット結婚」を法律で推奨すればいいと言っていた。充実した生活をしているから言えるのかもしれない。

日本人女性は、感情を露にしない。だから、日本人男性が救われる場面もあるでしょ。フランス人の男女は、感情をぶつけあう。僕は、京都出身だからよく分かるんだけれど、“都のお遊び”みたいな感覚はパリでも同じ。真に受けないで、言葉の「あや」を楽しまないとね。海外で生活する日本人女性も増えているけれど、世界状況を把握した上で、自国の文化をきちんと説明できる文化レベルを持つことは不可欠だね。女性に必要なのは、ポジティヴで前向きな姿勢。輝いていてコミュニケーションがとれる。それも、がっちりとした論理だけでは攻めない柔軟性。ヨーロッパの石造りの街に、今後、風通しの良い空間をつくっていかれるのは、日本人女性ではないかな。

(取材・文・写真 浦田薫)
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