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オーストラリアといえば、真っ先に体感したいのが、その恵まれた大自然。グレート・バリア・リーフやウルル(エアーズ・ロック)をはじめ、17にも及ぶ世界遺産を抱いているのも特徴のひとつで、そのうちの15か所が自然遺産。自然が造り出した他に類を見ない壮大な景観や、世界でこの国にしか生息しない固有種たちは、多くの観光客を魅了している。

そんな豊かな環境を保護し、共存していこうとする姿勢は世界でもトップクラスだ。そう、オーストラリアは環境保護と観光の両立を図ったエコツアーの先進国でもあるのだ。なかでもクイーンズランド州は特に進んでいる地域。オーストラリアのエコ精神に触れることができる宿泊施設や娯楽施設、プログラムが数多く用意されており、ダイナミックな自然と直に触れ合うことができる。

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ユーカリの林に伸びる山道を進んでいくと、段々と森の様子が変化していくことに気づく。木が密集し始め、葉は生い茂り、林に光は入らなくなる。最も賑やかなビーチ、サーファーズパラダイスから西へ車でわずか30分ほどで到着するここは、世界遺産のラミントン国立公園。1億2000万年ほど前から生き続けるという太古の森だ。園内には、野生の動植物が静かに、そして穏やかに暮らしている。

2013-05-28_183211地質の関係上、地下深くに根を張ることができないため板のような根を地上に張り出して巨木を支えているブラックブーヨン、他の木の幹に絡みつき長年かけて宿木を枯らしてしまうストラングラーフィグ(和名:絞め殺しのイチジク)、幹の頂上から細い草のような葉を無数に茂らせるグラスツリーなどの珍しい植物、色鮮やかなインコの一種レインボーロリキートや、赤と青のコントラストが美しいクリムゾンロゼーラといった鳥類などが、そこかしこで見られる。

オーストラリアの世界遺産の中には、リゾート施設があるところが珍しくないが、このラミントン国立公園内にも、世界的に知られた隠れ家的ロッジがある。正確には、国立公園内の私有地内に、である。オライリーズ・レインフォレスト・リトリートは、この森が国立公園に指定される前の、1926年からオライリー一家が経営してきたゲストハウスだ。環境を重視し、自然との共存を第一に考えられているため、エコ&サステイナビリティを大切にしたポリシーは一貫している。業務のために購入するものは最小限の包装がなされたものだけを選び、ゴミを徹底的に減らす。地産地消を原則とし、リユース、リサイクル素材、土へと戻る素材を優先させるのはもちろん、掃除や花の水やりになどには溜めた雨水を使い、自然に影響を及ぼさないよう灯り、消費電力までもが工夫によって最低限に抑えられている。

2013-05-28_183437そんなオライリーズでの滞在を特別なものにしているのは、自然との対話が持てること。本当の意味で忙しい日常からエスケープする機会を持ってもらいたいと、ゲストルームにはテレビや電話は置かれていない。窓から見える美しい自然、野鳥たちのさえずりを楽しみながら、リラックスした時間を楽しむのがここの流儀。初めは何か物足りなくても、森の静寂や木々のざわめきに、いつしか心が落ち着いてくるのがわかる。

早朝や晩には、レッドネックド・パディメロンやポッサムといった珍しい野生動物が訪れ、この施設が完全に自然と調和した存在なのだと実感。この体験こそが、オライリーズが提供してくれる最上のホスピタリティ。オーストラリア観光賞を何度も受賞しているのも頷ける。


information:世界遺産ラミントン国立公園&オライリーズ・レインフォレスト・リトリート

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2013-05-28_183541ヒンターランド地区最大の面積を誇るラミントン国立公園内を回るなら、オライリーズ・レインフォレスト・リトリートを拠点にするのがおすすめだ。全長160キロに及ぶ園内の小路を行くのもいいが、足に自信がないなら、オライリーズが提供してくれるスポット別、所要時間別散策コースの中から、自分に合ったコースを選ぶと安心だ。

国立公園に囲まれた豊かな自然の恩恵を受けているオライリーズは、世界でも環境保護活動に先進的なオーストラリアのエコツーリズムを、80年以上にもわたり牽引してきたパイオニア的存在としても知られている。

マネージング・ディレクターのシェーン・オライリー氏はこう話す。 「この恵まれた環境に暮らし、ゲストハウスを経営する者として、宿泊客だけでなく、日帰りで訪れる方にも、この環境についてより理解を深め、より感謝できるようお手伝いをすることが私たちの使命だと思っています。そのために、教育的なプログラムも用意しています」

野生生物たちが静かに暮らす自然の中へお邪魔させてもらう際には、“ルールを守り、決められた道から外れず、何も取らず、何も残さない”が鉄則。“とるのは写真だけ、残すのは足跡だけ”これがオライリーズの呼びかけだ。

information:オライリーズのデイツアー

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(photo / shiori kawamoto, text / june makiguchi)