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「オーボンヴュータン」開店から32年。日本のフランス菓子界を切り開き、情熱をこめて本場フランスの味を伝え続けてきたパティシエ、河田勝彦氏の集大成となる一冊 『「オーボンヴュータン」河田勝彦のフランス郷土菓子』が、製作期間4年半を経てついに完成。2014年2月4日に発売となった。

河田氏のパティシエ魂を揺さぶり、菓子作りの背中を押してきたのは、9年間のフランス修業で出会った郷土菓子の数々だった。本書では、挫折や葛藤を繰り返しながら、フランス菓子とは何かを自分に問い続け、素朴な郷土菓子の中にその光を見出してきた氏が、その日々を再び振り返り、138品のレシピと作り方をエピソードや由来とともに紹介されている。

そのラインナップは、今では日本でもよく知られるクグロフやカヌレから、もはやフランスでも出会えなくなった幻の郷土菓子まで、実にさまざま。それぞれの菓子がフランスの地方区分に沿った10章にまとめられ、各章の冒頭では地方ごとの歴史や文化、気候、食などがこまやかに解説されている。章の間には、河田氏自身のフランスでの経験や職人としての生き様を語る8つのコラムも挟み込まれ、単にレシピを知るだけでなく、菓子の奥にある背景を感じ、理解しながら読み進められる、これまでにはない充実の内容となっている。“生涯、一職人”としてひたむきに走り続け、多くのパティシエから尊敬を集める、河田勝彦氏の熱い思いとフランス菓子への愛情が、写真や言葉の端々からストレートに伝わってくる。

本書は、プロのパティシエはもちろん、これからパティシエを目指す若者や、フランス料理をはじめ食に関わる人たち、お菓子愛好家、フランスを愛する人たちすべての人にとって必携の愛蔵書となること間違いなし。フランス郷土菓子の真髄に触れることができる貴重な一冊。ぜひ、手に取ってみてほしい。

「オーボンヴュータン」河田勝彦の フランス郷土菓子
著者:河田 勝彦
構成・編集:瀬戸理恵子
B5変形判、p352、本体8,000円+税
出版社: 誠文堂新光社 (2014/2/4)