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ヘルシンキから北へ約830km。フィンランド北部には、「辺境の地」を意味する「ラップランド」と呼ばれる地域がある。夏は白夜が広がり、冬は1か月以上ものあいだ、太陽が姿を現すことのないこのまさに辺境の極北の地だ。 そのラップランドはオーロラの格好の観測地。オーロラを求めてラップランドまで足を運ぶ旅行者も多い。オーロラというと冬のものだという印象があるが、フィンランドのオーロラシーズンは8月末から始まる。秋には紅葉と共に湖に写る逆さオーロラを楽しむことができるのだ。

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ラップランドで神秘のオーロラ鑑賞!

auroraオーロラを表すフィンランド語は、「Revontulet(レヴォントゥレット)」。「狐火」の意だ。フィンランドの先住民族であるサーミの人々の間では、オーロラは北極ギツネが雪原を駆け巡り、その尻尾で舞い上げた粉雪が火花となり夜空に現れた光だという伝説が伝えられてきた。そんな話を聞くと、幻想的なオーロラがより一層ロマンチックに感じるのではないだろうか。変幻自在に、そして軽やかに夜空を自由に舞うオーロラは、たしかに「狐火」を彷彿させる。
北極と南極の周囲を取り巻く「オーロラベルト」と呼ばれるエリアがあり、このオーロラベルトの下ではオーロラが頻出。年間200日以上も見られるという統計がある。ラップランドはちょうどそのオーロラベルトにすっぽりとはまっているのだ。街中で見られる日もあるが、やはり明るい街中を離れたほうがオーロラが鑑賞できる確率は格段に上がる。凍った湖の上で鑑賞するものや防水&防寒具を身に付け、川に浮かびながら(!)空を眺めるアクティビティなど、オーロラ鑑賞のツアーのバラエティは豊富だ。小屋(オーロラが出るまで温かい小屋で待機するツアーが主流だ)でソーセージを焼いて小腹を満たすのも楽しい。

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(写真)左上:オーロラが見える条件は、晴れていて空が澄んでいること。また暗ければ暗いほどいい。ラップランドでは1年のうち、200日以上、オーロラが出現するといわれている。左下:「マッカラ」(ソーセージ)は、フィンランド人の大好物。種類はもちろん、サウナの後やビールのおつまみに、また、ランチにライ麦のパンに挟んでいただいたりと、食べ方も多彩だ。右下:トナカイ肉の煮込みにマッシュポテトを添え、ベリーのソースをかけた料理はフィンランドの定番だ。酸味のあるソースが、トナカイの肉によく合う。

「食」といえば、冬の北欧の定番料理である、トナカイ肉のソテーとマッシュポテト、コケモモのジャムもぜひいただきたいところだ。フィンランドに住む人々にとって、ベリーはなくてはならない食材だが、なかでもラップランドの人々にとってはソウルフードといってもいいかもしれない。夏場、人々は森や湿地にベリーを摘みに出かけ、冷凍にしたり、ジャムにしたりして冬に備える。ヘルシンキのスーパーや市場でもたくさんの種類のベリーを見かける。フィンランドの人々にとってベリーはもっとも身近なフルーツなのだろう。

幻想的でメルヘンチックなテーマパーク、サンタクロース村

santaオーロラが夜のアクティビティだとしたら、ラップランドの昼のアクティビティとして欠かせないのが、サンタクロースとの対面だ。ラップ州の州都であるロヴァニエミには、「サンタクロース村」がある。サンタクロース村のオフィスには1年中、サンタが在住。サンタとの記念撮影やおしゃべりもできる(驚くことに、ちょっとした日本語も話せたりする!)。ちなみに、サンタクロース村の発端は、第二次世界大戦後の1950年に、フランクリン・ルーズベルト米元大統領の夫人であるエレノア・ルーズベルト氏がラップランドを訪れたのがきっかけだ。彼女が視察の際、「ここから北は北極圏ですよ」ということを意味する北極線に行きたいと希望したことから、ロヴァニエミ市は、急きょ北極線の近くに小屋を立てたのだという。小屋は今もサンタクロース村の中に現存している。

(写真右)サンタクロースとの対面には、きっと大人でもテンションがあがるはず。握手や記念撮影にも気軽に応じてくれる。

サンタクロース村には「マリメッコ」のアウトレットや世界中にカードを送ることできるサンタクロース郵便局もあり、また、クリスマスグッズの購入も可能だ。トナカイの革を加工した民芸品を売る土産物屋もある。前述のように、敷地内には北極線も通っており、それがきちんとわかるように表示されている。多くの人が記念撮影に興じているのですぐわかるはずだ。そう、サンタクロース村の見どころ、遊びどころは尽きない。決して派手ではないが、幻想的でメルヘンチックなテーマパークといっていいかもしれない。天候に恵まれれば、ここでオーロラが見られることもあるそうだ。

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(写真上)左:とんがり屋根の建物に、あこがれのサンタクロースが! 右:サンタクロースグッズやフィンランドの土産物も充実。

サンタクロース村同様、どこかメルヘンチックでおとぎ話の世界を体現したかのような、ラップランド、そしてロヴァニエミでの時間は、フィンランドの旅のハイライトのひとつとなるはずだ。オーロラを見ることができるかどうかは運次第だが、その確率はかなり高いといっていいだろう。オーロラに初めて遭遇したときの感動は生涯心に刻まれるのはもちろんだが、期待と不安が同居するなか、オーロラを待つ時間もけっこう楽しかったりする。そして、たとえオーロラを見ることができなくても、やはり北極圏の入り口であり、サンタクロースの故郷でもあるこの街は、愛すべき場所なのだ。

取材協力・写真提供=Visit Finland(フィンランド政府観光局) http://www.visitfinland.com/ja/、text Aya Hasegawa

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