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フードライター沼田美樹さんがレポートする「イタリアの食の都 エミリア・ロマーニャのおいしさのエッセンス」。TOPICS2は、イタリアの家庭料理を、TOPICS3では、「世界ベストレストラン50」のアワードで常連である「フランチェスカーナ」のマッシモ・ボットゥーラが審査を担当した国内外の若い学生たちを集めた料理のコンクール「la 8 Festa del Consorzio Zampone e Cotechino Modena」(第8回モデナコテキーノ&ザンポーネコンソーシアム フェスティバル)の模様をお届け! フードライター沼田美樹さんがレポートする「イタリアの食の都 エミリア・ロマーニャのおいしさのエッセンス」。TOPICS2は、イタリアの家庭料理を、TOPICS3では、「世界ベストレストラン50」のアワードで常連である「フランチェスカーナ」のマッシモ・ボットゥーラが審査を担当した国内外の若い学生たちを集めた料理のコンクール「la 8 Festa del Consorzio Zampone e Cotechino Modena」(第8回モデナコテキーノ&ザンポーネコンソーシアム フェスティバル)の模様をお届け!

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旅先で習う、イタリア家庭料理

モルタデッラの工場見学の後は、調理実習!「レ・チェザリーネ」(https://www.cesarine.it/en)は、イタリア各地であらゆるグルメなアクティビティをサポートする組織で、ランチやディナーなどの食事やマーケット見学といったさまざまなプログラムがあるが、その一つに「家庭で学べるクッキングクラス」のサービスがある。一般の家庭でその土地の郷土料理を教えてもらえるというので、早速参加してみた。

2cf47960この日のメニューは、手打ちパスタに、モデナ地方の豚肉加工品「ザンポーネ」とレンズ豆のひと皿。講師は、地元でメガネブランドを営むオリアーナさんだ。

(写真右)レ・チェザリーネには家庭料理を教えてくれる人が何人も登録している。オリアーナさんもその一人。

「パスタは簡単! 粉100gに卵1個、と覚えてね」とオリアーナさん。粉と卵と塩少々を捏ね合わせてねかせるだけ、というごくごく簡単な手順で、おどろくほどおいしい手打ちパスタができるのだという。「ポイントは、むらなく捏ねること。手早くさっと捏ねないと、粉と水分がなじまず、ぼろぼろになってしまいますから」。

でき上がったのは卵たっぷりの黄色い生地(写真左下の左)。「薄くのばしてリボン状にカットしたらタリアテッレ。四角く切って中に具をつめて成形したら、ボローニャの郷土料理『トルテッリーニ』2cf47960になります」。なかなかの重労働だけれど、でき上がったパスタは絶品。日本でも再現できそうな簡単な生地だ。
次に作ったのはモデナ地方の特産サンポーネ(写真左の右)。「これは、ザンポーネというモデナ地方の豚肉加工品です。レンズ豆とセットになったものが販売されていて、温めるだけでおいしく食べられるんですよ。これはこの地方の年末年始に欠かせないご馳走で、縁起がいい食べ物と言われています」とオリアーナさん。やや脂の多いザンポーネには、同じくモデナ地方のバルサミコ酢をかけると、さっぱりと食べやすくなる。土地のものは土地のものと。ローカルグルメの鉄則だ。


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“世界一”のシェフが注目する地元食材がテーマ!
若い学生たちによる料理コンクール

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  • 「第8回モデナコテキーノ&ザンポーネコンソーシアム フェスティバル」に集ったのは、トップシェフを目指す若い学生たち。

2018年、「世界ベストレストラン50」で2年ぶりに世界一に輝いたレストランがモデナにある。シェフ、マッシモ・ボットゥーラ率いる「フランチェスカーナ」だ。そのマッシモ・ボットゥーラが、国内外の若い学生たちを集めた料理のコンクール「la 8 Festa del Consorzio Zampone e Cotechino Modena」(第8回モデナコテキーノ&ザンポーネコンソーシアム フェスティバル)の審査を務めた。コテキーノとザンポーネはいずれもIGP呼称を持つモデナの豚肉加工品で、豚の肉と皮などに塩、こしょうを混ぜたものを腸に詰めたのがコテキーノ、豚足詰めたものがザンポーネだ。ボットゥーラはこのモデナ産の2つの食材を若い料理人にテーマとしてゆだね、新たな食べ方を提案させた。

このコンクールには、イタリア各地はもちろん、国外からも学生が参加、審査を経て最終選考に残ったチームが、2018年12月にモデナに集合した。「料理人は、まず自分の文化を知ることが大切」というボットゥーラは、学生たちが考案した料理を次々に試食、講評しながら会場を回る。学生たちは、世界一のシェフのコメントをひと言も聞き漏らすまいと熱心だ。厳正なる審査の結果、2018年のトップに輝いたのは、ドイツ出身の女子学生、ジェニファー・マシアさん。だしを使ったコテキーノの料理は、見た目にも美しく、味わいも繊細だという。「まさか私が受賞するなんて!」と、本場イタリアの学生を置いて見事優勝したジェニファーさんは喜びを隠しきれない。

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「自分がどんな食文化の国に生まれ、何を食べて育ってきたのか、あるいは何をつくってきたのか、そのアイデンティティを理解することで他とは違う料理を生み出すことができる」と語るボットゥーラ。自らの拠点であるモデナの食材を研究し、そこから新しい価値を生み出そうとする世界一の料理人は今、若い世代にその思いをバトンタッチしようとしているようにも見える。「コテキーノとザンポーネは、モデナが誇る食材。この地で生まれた宝物です。今年はドイツの学生が新しい扉を開いてくれた。今後はもちろん、アジアや日本にもこの波を広げたい」
食の都、エミリア・ロマーニャ。伝統が育む豊かな食材が、その文化と精神を今、世界へと発信しようとしている。


INFO:
Festa del Consorzio Zampone e Cotechino Modena 

INFO:
Osteria Francescana (オステリアフランチェスカーナ) 
Via Stella 22, 41121 Modena, Italy
Tel:+39- 059223912

■イタリアの食の都 エミリア・ロマーニャの食散歩

>>TOPICS1:モルタデッラとサラミ

>>TOPICS2&3:イタリアの家庭料理教室とマッシモの料理コンクール


Photo & Text Miki Numata、Special Thanks Arigat-EU http://www.arigat.eu