wakako_mainhon©Takashi Okamoto

今年、成人式を迎えた有馬和歌子さん。現在、学習院大学文学部哲学科で東洋美術史を学んでいる。幼い頃から、子ども向けの美術史の本に触れては、作品を観察して過ごしていた。自然と美術に親しみ、好きになっていたという。大学に進学する際、 今度は教養として美術を学び、将来舞台に活かせる感性を身につけたいと思ったのも自然な流れだった。

「2年生までは、水墨画、やきもの、浮世絵、やまと絵、漢画など、東洋の様々なジャンルを広く学び、多くの作品に出会いました。プレゼンテーションやディスクリプション(作品のなかに何が描写されているか、使用されている色や印象の観察)を通して、自分らしい思考をさらに開拓し、無限の楽しさを広げていけるような環境です。先生方の授業は、それぞれの専門分野への豊富な知識のみならず、学問を愛するお心を感じるお話にいつも刺激と感銘を受けています。」

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©Takashi Okamoto

大学で美術史を学びながら、一方で自身が日本の伝統文化を表現する舞台に立つ和歌子さん。その忙しさは社会人並みだ。「授業と授業の合間の空き時間にキャンパスを出て舞台の打ち合わせをし、授業後は哲学科の部屋でそのまま課題に取り組むことがあったり、土曜日に東京を離れて舞台に出演し、月曜日の早朝3時半にホテルを出て新幹線に乗り、1時間目の講義に滑り込むこともありました。しかしそんな時こそ、大学で学ばせていただくことの充実感を得ることがあります。」と日常を語る和歌子さん。

そんな和歌子さんが、今最も注力するのが、自身が代表をつとめる『子供舞踊塾』だ。「『子供舞踊塾』はもともと父・坂東寛二郎が創設いたしましたが、日本の伝統文化を子どもたちへ伝え、一生を通じて美しさを見る目を養う純度の高い教育的アプローチをしたいという思いで本格始動させました。『子供舞踊塾』の活動は、第一に熱意一本。今の私のライフスタイルの軸になっています。」

和歌子さんの『子供舞踊塾』は、"子供たちへ、日本の美と技術を"をコンセプトに、"踊る"ことのみならず、より広い視野を持って、子どもたちの感性を伸ばすことを目的にしている。毎年、国立劇場などの舞台公演の場を用意すると同時に、プログラムには日本舞踊業界に留まらず、企業や個人作家・アーティスト(過去に、老舗和菓子店「榮太樓總本鋪」、友禅作家 鈴木三千絵氏、「パレスホテル東京」の協力を得た)などの異業種、異業界とのコラボレーションを展開するなどして、日常では学べない分野を深い奥行きで体験するという、新しい習い事のスタイルを提案している。

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2018年12月、国立劇場で上演した『子供舞踊塾』の企画公演『アーヤ物語』は、満席の観客を迎え、各方面から反響を得た。「『アーヤ物語』上演の後、新たなつながりを生む結果になりました。『アーヤ物語』は新しいものへの挑戦という意味を込めて、地球ができるまでの様子をテーマに、日本神話になぞらえ、子どもたちの自由闊達な雰囲気が、妖精のようなイメージで観客の皆様に伝わればというイメージで立案いたしました。ある意味で、私の熱意だけで始まった企画ですが、結果としてたくさんの方々がこの企画に賛同してくださったことに心より感謝しております。」

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和歌子さんと『子供舞踊塾』にとって、初めての大きなチャレンジとなった『アーヤ物語』だが、常に心がけていたのは完成イメージだという。「誰が笑顔になっているのか、誰がどんなリアクションをとっているのか、それを細部までイメージして突き進みました。子どもたちの舞台を親御さんが客席から観て感動している姿、経験豊富で確かな技術をもつスタッフの皆様と、なにもかもが初めての子どもたちが舞台裏で出会う瞬間、子どもたちは不安ながらも未知の世界へ向かって、勇気を出してジャンプしている姿。企画を進める最中にも、マイナスのイメージをしないこと、悪い言葉を使わないこと、そして皆が同じ思いを胸に舞台が完成する。その一心で、そのために私はできる限りの努力をしたい。このワクワク感を一緒に共有したい、そんな自分自身の勢いを何よりも大事にしてきました。」

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子どもたちと舞台をともにする中で、和歌子さんに印象に残ったことを訊いた。「子どもたちを見ていて、昔の私と同じことを感じてくれているんだという感覚がありました。例えば、舞台化粧をした自分の顔を鏡でじっと見つめている姿。まさしく昔の自分と同じだなと。未知の世界に踏み込んで、胸の高鳴るある種の高揚感を湛えたキラキラした瞳で、何がなんだか分からないうちに、いろいろなことを吸収して覚えていく。子どもたちの可能性は、そこから始まるのだと思っています。」

「ある一人の男の子が、国立劇場の舞台を初めて見た時に『舞台、なんか大きくない?』と少し緊張気味に言ったのをみて、嬉しい感想だなと思ってしまいました。本番でしか分からないことを思い切り感じてもらいたくて。舞台というのは表で見えるところはとても華やかなのです。でもそこだけでは語りつくせないものが裏にある。客席から見えないは場所で舞台を支えてくださる大勢のスタッフの技術を初めて目の当たりにすることで、舞台の尊さやそのプロセスに対するリスペクトの気持ちが生まれます。こうした体感は必ずしも、舞踊家としてではなくとも、大人になってからのさまざまなシーンで活かされるのではないでしょうか。」
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元来、子ども好きだという和歌子さん。「『子供舞踊塾』をやっていて一番嬉しいことは、子どもたちの成長を一番近くで感じられること! 物怖じしやすい子がしなくなった、年上の子が年下の子たちをフォローするようになった、舞台をチーム皆で成功させようという意欲をみせるようになった子など、ここに来たことによって変わってくれた子がいること、そして子どもたちの笑顔が、何よりも自分の日々の励みになっています。」そう、自身も溢れるばかりの笑顔と輝く瞳で語ってくれた。

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2019年の10月に開催を予定している次回の舞台公演については、こんな風に抱負を語ってくれた。「古典舞踊に挑戦します。創作舞踊に比べて安定的な古典舞踊を選んだのは、逆に大きなチャレンジをしようと思ったからなんです。今回は、特に子どもたち一人ひとりに口上(舞台上から俳優などが、観客に対して述べる挨拶のこと)にチャレンジしてもらいます。これは、子どもたちにとっては一大チャレンジです!ですが、勇気をもって、不安を打ち破ることで、また新しいステージに昇れるはずだと信じています。私も全力でサポートいたします。」

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©Takashi Okamoto

「『子供舞踊塾』は、どの子が主役になっても舞台を体験した経験が宝物のような物語になるようにと取り組んでいます。子どもたちとご家族がそれぞれ主役です。人々の気持ちがギュッと凝縮されて、皆が一つになっている感覚を追求していきます。関わってくださった出演者、お客様、そしてスタッフ、ご支援をいただいた皆さますべての満足度を目指して、私は努力を惜しまないで前へ進んでまいります。」


写真/岡本隆史(和歌子さん写真)、撮影場所 協力/学習院大学
舞台写真提供/子供舞踊塾


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出演者 募集

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坂東寛二郎氏による「七福神」に始まり、子供舞踊塾生らが初の口上に挑戦する他、古典舞踊をメドレー形式で披露し、有馬和歌子(坂東寛十胤)の「新鹿の子」などのプログラムを構成。日本舞踊の演目において重要視される花道が配備されている日本橋公会堂を舞台に、輝く目を持つ子どもたちによる新たな一幕が観客に感動を届ける舞台を目指す。本公演において、新たに生徒を募集3歳~12歳までの子どもを対象に、定員30名を募集中。

・日時:2019年10月22日(火・祝日)昼夜2回公演
・会場:日本橋公会堂(http://www.nihonbasikokaido.com/
・主催:子供舞踊塾
・協賛:株式会社ニチガン、株式会社マルハチ村松「やいづ善八」
・出演:坂東寛二郎、坂東寛十胤、子供舞踊塾生
・問い合わせ先:寛和会事務所
 Tel:03-5484-8290
 E-mail:kanjiro.wakako.202@coda.ocn.ne.jp


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木のぬくもりで、子どもの可能性を広げる
日本で最も歴史の長い木製玩具メーカー「株式会社ニチガン」

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1929年の創業以来、「子どもたちの無限大の可能性を木のぬくもりで広げたい。」そんな想いから生まれた木のおもちゃ、積み木、木のままごとなどの玩具たち。子どもたちの感性を豊かに広げ、日常を彩る安全で安心の玩具は、お誕生日のプレゼントにも喜ばれる。
2019年1月には、ドイツ南部の都市ニュルンベルクで開催された世界一を誇る玩具を中心とした専門見本市「Spielwarenmesse® シュピールヴァーレンメッセ」に出展。リニューアルした商品デザインと品質の高さが各国のバイヤーなどから高評価を得た。


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■株式会社ニチガン
http://www.nocorp.co.jp/




創業150年のだしの専門メーカー「マルハチ村松」が手掛ける
本格だしブランド「やいづ善八」


「やいづ善八」は、化学調味料無添加の本格だしブランド。手軽に本格的なだしがひけるとして人気の「やきつべのだし(鰹 荒節、鰹 枯節)」 は日本古来の天然調味料 「堅魚煎汁(かたうおいろり)」 を現代に蘇らせ、焼津産鰹節を粗砕し、エキスコーティングした独自製法で仕上げている。 鰹本来のうま味を余すことなく引き出した化学調味料、食塩無添加のだしパック。忙しい現代人の毎日の食卓に日本の食文化を支えるだしの美味しさを届けている。

ya ■やいづ善八
http://www.yaizu-zempachi.jp/
■マルハチ村松
http://www.08m.jp/




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有馬和歌子/舞踊家・子供舞踊塾代表

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e-mail:kanjiro.wakako.202@coda.ocn.ne.jp
Tel:03-5484-8290
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