pg_int_mian(写真)ペリエ ジュエ × ピエール・ガニェール コラボレーションメニュー。

2018年にポール・ボキュース、ジョエル・ロブションといった世界で名を轟かしたフランス料理の名シェフが逝去した。今も現役で活躍するフランスの料理人、それも日本においてもその名を知られている料理人といえば誰であろうか。私であれば、「厨房のピカソ」の異名をとるピエール・ガニェール氏を真っ先に挙げたい。

現在69歳のガニェール氏は、フランス中東部ロワール県アピナックに生まれた。1981年にフランスのサン・テティエンヌにレストラン「ピエール・ガニェール」をオープンし、独創的な料理は当時から評価を受け、「ミシュランガイド フランス 2019」でも3つ星として掲載されている。今ではパリやロンドン、ドバイ、香港を始めとして、世界9カ国で25店舗を展開しており、ガニェール氏の哲学から紡ぎだされた料理を、多くの食通たちが堪能することができるのだ。

今回、ガニェール氏にインタビューする機会を得て、氏が手掛ける新店舗についてやANAインターコンチネンタルホテル東京の「ピエール・ガニェール」で展開中の「ペリエ ジュエ × ピエール・ガニェール コラボレーションメニュー」について詳しくご紹介したい。

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pg_int01日本においては、ガニェール氏がプロデュースするレストランの筆頭にANAインターコンチネンタルホテル東京「ピエール・ガニェール」がある。エグゼクティブシェフを務めるのは、ガニェール氏から全幅の信頼を寄せられている赤坂洋介氏。ガニェール氏は非常に多忙ながらも、全世界に展開する店舗を精力的に回っており、日本にも年に2回から3回訪れ、自ら腕をふるい、ゲストたちの舌を喜ばせている。2019年10月19日から23日にかけても来日し、2019年10月19日から11月24日まで提供される「ペリエ ジュエ × ピエール・ガニェール コラボレーションメニュー」を考案し、自ら厨房に立って料理を生み出した。

世界中に展開するガニェール氏のレストランと食材への飽くなき好奇心

現在世界に展開している店舗について尋ねると「どの店舗も非常によい状況です。ロンドンでは新たに3つ星を獲得したり、アジアの店舗も星を取り続けたりしています。東京は2005年に初出店してから長い歴史があり、とても安定しています。赤坂シェフとはお互いに信頼があり、コミュニケーションもよく取れています。」と力強く答える。

その赤坂氏のチームについては「非常にスキルが高く、赤坂シェフをリスペクトしている。彼は才能があることに加えて、人柄も穏やかで、笑顔も素晴らしい。サービスの責任者であるラファエル・アヴェニールも高いホスピタリティを持っていますし、2019年5月からシェフパティシエに就任したルーカス・デュマルスキも質の高いデザートを作り上げています。」と説明。日本の食材に関しては非常に興味をもっており、「お酢、海藻、魚介類、牛肉、野菜、柚子など、どれも素晴らしいクオリティ。今秋でいえば、キノコ類、リンゴやナシといった果物、ジャガイモがどれも素晴らしい。」と次々に例を挙げる。

日本の食材、野菜や穀物、ベジタリアン料理がホットトピックス

現在フランスでは日本の食材がよく用いられているが、ガニェール氏は15年以上も前から注目していた。さらには、分子ガストロノミーにもいち早く関心を寄せていたことも指摘しておきたい。

そのガニェール氏が今注目しているものがある。「フランスではロゼワインがよく飲まれていますが、最近ではアメリカでもよく飲まれるようになりましたね。また世界的にベジタリアンが増えてきているので、野菜や穀物にますます注目しています。穀物では、アマランサスやキヌア、お米、南仏プロヴァンス地方のスペルト小麦が素晴らしいです。また、パリを始めとして、フランス全土でレバノン料理が人気を博しており、白い豆を入れた煮込み料理などベジタリアン料理がよく食べられています。」

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(写真上)ペリエ ジュエとのコラボレーションメニュー「黒鮑 蒸した鴨フォアグラ 季節のキノコ ディアブルソースとともに」。

ペリエ ジュエとの華麗なるコラボレーションを展開

自身がグローバルインフルエンサーを務め、今回コラボレーションメニューを考案したペリエ ジュエに関しては「ペリエ ジュエのシャンパーニュは近年ますます品質が高まっており、フランスでの地位も高まっています。よい関係を築けた結果、このようなコラボレーションを行えたのは極めて光栄。」と真摯な表情で述べる。コラボレーションメニューはどれも渾身の一皿に仕上がっているが、強いて挙げるとすれば、「黒毛和牛フィレ肉と雲丹 青海苔を効かせたジャガイモのピューレを添えて」と「黒鮑 蒸した鴨フォアグラ 季節のキノコ ディアブルソースとともに」がおすすめという。

前者は数年前にガニェール氏が先駆けて生み出した黒毛和牛とウニを取り合わせた一皿で、後者は黒鮑の食味を最大限に引き出したものだ。この2品含めて、コースはどれもシャンパーニュとマリアージュできるものを創り出したという。

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(写真)今回、ガニェール氏は、ペリエ ジュエとのペアリングを意識したコラボレーションメニューを考案した。

そして新たな挑戦は続くー
イタリア料理『Piero TT(ピエロ TT)』など3店舗を新規開業!


直近の展開については「新しくオープンしたイタリア料理『Piero TT(ピエロ TT)』は料理も内装も好評を得ており、滑り出しは非常に順調です。2019年6月にはフランスのニームにフレンチスタイルのブラッセリー『L'Impé(ランペ)』をオープンし、12月にはスペイン語で『ハッとするような魅力』を意味する『Duende(ドゥウェンデ)』をオープンします。」と述べる。

これを受けて今後に展開について尋ねると「全ては巡り合わせなので、よい機会があれば考えていきたいですね。」と、その華麗な活躍に比して欲は少ない。ガニェール氏は、2015年にフランスで権威ある料理専門誌「ル・シェフ」において「世界のトップシェフ100」の1位に輝いたが、それは料理のクオリティや技術の高さ、創造性や先見性に加えて、人間としての魅力や懐の深さがあったからであると私は考える。

「世界的な情勢を鑑みると、人々は不安やストレスが高まっている状況となっているかもしれない。レストランは人々に喜びを与える場所なので、ぜひともゲストに満足いただけるように、これからも全力を尽くしたい。」と真っ直ぐに語るガニェール氏は、今世紀最高の天才的な料理人のひとりでありながらも、人の絆を何よりも大切にする料理人ではなかろうか。

Text by Toryu

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ピエール・ガニェール

所在地: 東京都港区赤坂1-12-33 ANAインターコンチネンタルホテル東京 36F
Tel:03-3505-9505(直通、受付時間 10:00~21:30)
e-mail:pierre.gagnaire@anaintercontinental-tokyo.jp
オンライン予約は”こちら
営業時間:ランチ 11:30~13:30(L.O.)
ディナー 18:00~20:30(L.O.) 定休日:月曜日 ※祝祭日については要問合せ。
席数:52席 個室2室(PARIS, PIERRE)/半個室1室(TOKYO)
ドレスコード:スマートカジュアル

https://anaintercontinental-tokyo.jp/pierre_gagnaire/

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東龍

1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ブッフェ、フレンチ、鉄板焼、ホテルグルメ、スイーツをこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。料理コンクール審査員、講演、プロデュースも多数。
2017年8月「一般社団法人 日本ブッフェ協会」設立、代表理事就任。

https://www.sumire201.com/