フレグランスを愛する女性たちの新たな選択肢として、KILIAN（キリアン）が今注目されている。このコロナ禍で勢いが落ちるどころか、限定品はすぐ完売してしまうという人気ぶり。〈キリアン〉がヘネシー家に脈々と受け継がれてきたブランド精神を体現し、感覚的にも視覚的にも気分を高揚させる卓越した個性を放つ本物志向のパルファムであり、真のラグジュアリーブランドであるからに他ならない。 その類まれなる世界観を紐ときながら、アーティスティックでラグジュアリーな旅の入り口へとご案内。

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生まれながらにして洗練を身につけたキリアン・ヘネシー。

〈キリアン〉の創設者は、キリアン・ヘネシー。その名が語る通り、世界的なコニャック・メゾンとして知られるヘネシー家の出身だ。幼少期からヘネシー家のコニャック地方の城で育ち、コニャックを醸造するセラーでバニラやウッドなど本物のグルマンな香りに包まれる生活を送り、香りと洗練の英才教育を生まれながらにして受けてきたキリアン。ヘネシー家の名前が常についてまわるという葛藤の人生で、彼が選びとったのは“香り”の道。20代から調香師としての技術や知識を身につけ、大手メゾンで経験を重ねたのち、40歳で自身のブランド〈キリアン〉を創設。由緒あるヘネシー家から受けた恩恵やDNAと自分らしさを調和した、比類なきラグジュアリーと品格が宿るモダンなパルファムは、あっという間に世界中のセレブリティを虜にしたのだ。

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「香りを可視化する」がコンセプトのひとつ。

ブランドのクリエイションはユニークだ。キリアンの頭の中にあふれるイメージから先にストーリーと名前が決まり、そのディレクションをもとに調香師が香りにしていくという作業で、現在6人の名高い調香師が関わっている。製品名にもキリアン独自のセンスが光り、「Good girl gone Bad」「Love, don’t be shy」など想像力をくすぐる詩的なネーミングにも注目。そして、厳選された香料を用い、各調香師の緻密なブレンドによって、最高にエレガントで最高にラグジュアリーなパルファムが送り出されている。人気の香りをいくつかご紹介しよう。

まずはブランドの中でも最も人気のある〈グッド ガール ゴン バッド〉（写真左）。アダムとイブの話にインスパイアされた香りは、純真無垢ないい子がバッドガールになって行く“誘惑”の物語を描いたもの。オレンジブロッサムやオスマンサスの甘美さとから、チュベローズやジャスミンといった蠱惑的な香りへ移ろう。
〈ムーンライト イン ヘブン〉は、エキゾティックな香りを好むキリアンが、ハネムーン先のアジアで着想を得た香り。闇夜の水面に浮かぶ月をイメージし、ココナッツやライスの優しい甘さがピュアに漂う、男女共に人気の高いフレッシュアコード。
〈ウーマン イン ゴールド〉は、クリムトが描いた『アデーレ・ブロッホ＝バウアーの肖像』をインスピレーション源に、光と影を描いた輝きあふれる香り。ローズやバニラの華やかさに、パチョリから抽出したアキガラウッドがミステリアスな陰影のアクセントを添えて。

ヘネシー家の血統が宿る、新コレクション「ザ リカーズ」

2020年秋に誕生した「ザ リカーズ」の2品は、名家・ヘネシー家に生を受けたキリアンならではのパーソナルなコレクション。ヘネシー家のコニャック醸造に対する情熱と敬意を表現して調香された特別なパルファムで、キーワードとなっているのが、ヘネシー家に伝わる“angel’s share（天使の分け前）”という概念。コニャックを熟成している貯蔵期間に樽から蒸発する数バーセントの液体のことで、ヘネシー家では“神への捧げもの”として、神聖な存在とされているのだとか。キリアンは、アルコールを天使と分かち合うというこの表現が気に入っており、ソルボンヌ大学卒業時には「神や運命との共通言語としての香り」という論文を執筆している。調香師とヘネシー家の子孫という彼の原点を融合させた香りのコレクションは、キリアンにとっても新たなステージへの挑戦だったという。カッティングの美しいロックグラスを思わせるボトルと、琥珀色に輝く液体。ロックグラスをストレートで味わうような、最高のひとときへ誘う。
（写真左）〈エンジェルズ シェア オード パルファム〉50ml 25,000円　実際にコニャックから抽出されたエッセンスに、シナモンやプラリネのグルマンさ、そしてオークノートが混じり合う。古樽に染みこんだ砂糖やアルコールを思わせる、濃厚な余韻に浸る香りは、ヘネシー家に生まれ、“天使の分け前”の神秘性に魅せられてきたキリアンの集大成ともいえる特別なもの。（写真右）〈ローゼズ オン アイス オード パルファム〉50ml 25,000円　キリアンの妻が愛するカクテル、ライムを絞ったジン オン ザ ロックスをイメージ。バラの花びらやキューカンバーのエキスを加えたヘンドリックス ジンから着想したノートは、ハーブの清涼感と麗しいローズが共存。プライベートな夜の楽しみを彩る麗しい香りだ。

〈キリアン〉の香るリップスティックで自分に似合う“完璧な赤”を見つける。

パルファム ブランドでありながら、パフューム以外にリップコレクションを展開しているのもキリアン独自のブランド精神を表している。2019年に新たな試みとして発表されたリップカラーは、「香水は持ち歩かなくても、口紅はだれしも持ち歩くもの。香りをお守りのように持ち歩いてほしい」という願いから、パルファム〈ラブ ドント ビー シャイ〉と同じマシュマロやバニラが香るグルマンなルージュを完成させた。

全16色のリップカラーは、サテンとマットの2種のテクスチャーで展開。加えて、季節の限定カラーも発表している。「自分に似合う“完璧な赤”を知っている女性はすごく魅力的」というキリアンの思いから、ニュアンスが少しずつ異なる赤をラインナップ。その洗練された美しさは感動もので、きっと誰もが似合う赤に出会えるはずだ。唇をドレスアップする赤の6色に加えて、ラズベリーやローズウッドからインスパイアを得たピンクなども登場。香りとルージュ、最高にエレガントな武器を手に入れて。

ル ルージュ パルファム サテン 全16色、同マット 全16色 各6,200円　


Luxury should live forever―――ラグジュアリーは永遠に続くべき、というのが〈キリアン〉の信念。香水もメイクもジュエリーも、「人のため」でなく「自分のため」に選ぶ自分軸の時代へとシフトし、本当に意味のあるもの、価値のあるもの、共感できるものを誰もが求め始めている。ラグジュアリーな世界観を貫く〈キリアン〉は、本物志向の女性からますます愛される存在になるだろう。

Text :Naho Sasaki