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イスラム教では聖典であるコーランに飲酒を禁止=ハラムする描写がありイスラム教国では基本的に飲酒はもちろんのこと酒の醸造や販売も禁止されている。ドバイのあるアラブ首長国連邦(UAE)もイスラム圏の中では比較的リベラルとはいえ、やはり飲酒に関しては厳格な法律が存在することは覚えておきたい。 まず飲酒はリカーライセンスを持っているレストランやバーでのみ飲酒が可能。また日本と違い、酔った状態で外に出ることは罰金や投獄の対象となっている。アルコールの販売に関しても、以前書いたように専用ライセンスを取得しているショップでのみ購入が可能。これも非イスラム教徒だけに許可されている特別措置であり、アルコールを運ぶ際は紙袋に入れて外から見えないようにするなど、現地のイスラム教徒に対するリスペクトが必要だ。

そうは言ってもドバイのナイトライフは実に活発だ。高級ホテルは大抵ロビーフロアや高層階に眺めのいいバーを完備していることが多く、イスラム教徒用にノンアルコールカクテル=モクテルを用意していることが多いのもドバイのバーの特徴。たとえアルコールは飲めなくても、クールなバーでとびきりの時間を過ごしたいという気持ちは、イスラム教徒でも変わらないのだ。そこで今回ドバイ取材で見つけたおすすめのバー3軒を紹介したい。



ラグジュアリーな空間と最新ミクソロジーが交差する
Buddah Bar Dubai/ブッダ・バー・ドバイ

duabi_04-101 今ドバイのナイトシーンで最も話題となっているのが高級ホテル「グロブナー・ハウス」内にある「Buddah Bar Dubai(ブッダ・バー・ドバイ)」だ。「ブッダ・バー」は世界中に20店舗近くフランチャイズを展開するバーグループで、オリエンタル・テイストを前面に出したバー・レストラン空間が世界中の若者を中心に人気を集めている。しかしドバイの「ブッダ・バー」はやはり別格のスケール感。入り口でエスコートレディにフロア奥へと案内されると、そこは赤と黒を基調とした広大なラウンジで、マリーナベイの夜景が輝く大きなガラス窓が特徴的。長さ10メートルはあるバーカウンターに座ると、バックバーには大小さまざまな黄金の仏像が飾られており、バーテンダーたちがカクテルを作る様子はまるでショータイムのようだ。
duabi_04-102(写真)左:「スモーキー・ブールバルディエ」。右:「キンツギ・マティーニ」。

目の前に登場したバーテンダーはミャンマー出身のリン。最初に作ってくれたのは桜のチップをスモークした「スモーキー・ブールバルディエ」。これはジンの代わりにジョニー・ウォーカーを使ったネグロニなのだが、スモーク効果でまるでアイラ島のシングルモルトのようなニュアンス。2杯目が「キンツギ・マティーニ」でこれはわさびとゆずを効かせたドライ・マティーニ。最後に金箔を浮かべると、バーコーナーの暗い照明を反射してキラキラと輝き出す粋なカクテルだ。「ブッダ・バー・ドバイ」はタイ料理、インド料理、日本料理などをアレンジしたオリジナル・オリエンタル・フュージョン料理のメニューが充実しているので、料理に合わせてカクテル・ペアリングを楽しむ過ごし方もできる。いずれにしてもドレスアップして臨みたい。

Photo&Text Masakatsu Ikeda

bar information


th_Buddah_Bar_Official_0004 Buddah Bar Dubai(ブッダ・バー・ドバイ )

住所:Grosvenor House Dubai Al Emreef Street, P O Box 118500, Dubai
Tel:+971-4317-6000
営業時間:19:00〜翌1:00 (土のみ13:00〜16:30、20:00〜翌2:00 )年中無休



マリーナベイを見下ろすスカイバー
Siddharta Lounge/シッダールタ・ラウンジ

duabi_043-201 一方「Siddharta Lounge(シッダールタ・ラウンジ)」は「ブッダ・バー・ドバイ」とは中庭を挟んで真正面に位置するもうひとつのバーラウンジ。「ブッダ・バー・ドバイ」が黒と赤を基調としたグラマラスな空間なら、こちらはテラスからの夜景を楽しむ開放的なスカイラウンジだ。ちなみにシッダールタとは釈迦の本名であり「ブッダ・バー・ドバイ」とは兄弟店という位置付けになっている。

FD_02(写真)左:プールサイドのラウンジ。右:シグネチャーカクテル「エルダーフラワー」。
エレベーターで3階に上がると、星空の下に広がる広大な空間はマリーナベイに沈むサンセットが見える西側テラスのテーブル席、プールサイドのラウンジ、入り口に近いオープンバーカウンターなど、いくつものテーマごとに区切られている。バーカウンター近くのスツールに座ると、シグネチャーカクテルのひとつだという「エルダーフラワー」がまもなく運ばれて来た。口をつけると、ソーヴィニヨンブランに似たほのかなエルダーフラワー=セイヨウニワトコの香り。これはピスコサワーにエルダーフラワーのリキュール「サン・ジェルマン」とレモンを加えて軽くステアしたシンプルなカクテル。やや甘い飲み口が、ウイスキーを飲んだ体を一度リセットしてくれる。「ブッダ・バー・ドバイ」に比べると比較的カジュアルなのでレストラン・クルーズやドレスアップするのに疲れた時、シンプルなカクテルと夜景をのんびり楽しみたい時によさそうだ。

Photo&Text Masakatsu Ikeda

bar information


th_Siddharta_Official_0002 Siddharta Lounge(シッダールタ・ラウンジ)

住所:Grosvenor House, a Luxury Collection Hotel, Al Emreef Street, Dubai
Tel:+971-4-317-6000
営業時間:17:00〜0:00(金17:00〜翌1:00、土13:30〜16:30、19:00〜翌1:00)年中無休



ドバイの夜を締めくくるオーセンティックなカクテルバー
Speak Easy/スピークイージー

duabi_043-301 ドバイの夜を楽しむバーホッピングは、ドバイマリーナ沿いの英国風バー「Speak Easy(スピークイージー)」で締めくくることにしよう。「スピークイージー」とは1920年代禁酒法時代のアメリカで、非合法的に酒を飲ませた無許可営業のバーのこと。呼び名の語源は、店に入る際合言葉が必要だったことに由来すると言われている。

FD_02(写真)「スピークイージー・ジントニック」。
「デルタ・ホテルズ・バイ・マリオット・ジュメイラ・ビーチ」内にある「スピークイージー」はアルカポネが活躍した時代のモグり酒場のイメージ。エントランスには、アルカポネ当人らしきイラストが描かれており、イスラム圏にもかかわらず夜な夜な酒を求めるゲストをあたたかく迎えてくれるのだが、中の様子は外から伺えないようになっている。しかし実際に店内に入るとウッディなインテリアはロンドンの片隅にありそうな正統派パブ&バーを彷彿とさせる。壁一面にはモノクロームの古い写真が飾られており、ブリティッシュグリーンの革製ソファとともに落ち着く雰囲気。

メニューに多いのはジン、ウイスキー、そしてエールを中心としたクラフトビール。クランベリー、ブラックベリーを加えた「スピークイージー・ジントニック」で喉を潤す。どこからか漂ってくる葉巻の甘い香りのせいか、一瞬ドバイにいることを忘れてしまいそうになる。ちなみにこうしたホテルのバーの入り口では、黒服に身をつつんだ男性セキュリテイが「ミスター、どちらへ?」と必ず声をかけてくるので自分が行くバーの名前はすぐに言えるようにしておきたい。これもドバイで安全かつ快適に酒を楽しむための流儀と覚えておけば、ドバイのナイトライフもより一層楽しくなるはずだ。

Photo&Text Masakatsu Ikeda

bar information


th_speakeasy-food-14 Speak Easy(スピークイージー)

住所:Delta Hotels by Marriott, Jumeirah Beach, Bahar 7, Dubai
Tel:+971-4-439-8881
営業時間:12:30〜翌3:00 年中無休


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RAMADAN
ラマダン
神聖な月、ラマダンについて知る

世界中のイスラム教徒にとって1年で最も神聖な月であるラマダンの期間は、イスラム教徒は断食を行い、日中は内省する時間として静かに過ごす。観光地ドバイであっもそれは変わらない。ラマダンの期間、日中は普段とは少し異なる雰囲気へと様変わり。日没後はイフタール(Iftar)で断食が明け、都市に活気が戻ってくる。アル・ファヒディ歴史地区にあるシェイク・モハメッド文化理解センター(SMCCU)やジュメイラ・モスクの特別ツアーに参加すると、ラマダンについてより詳しく知ることができる。ラマダンがいつになるのかは、月の満ち欠けにより決まりので渡航前に事前にチェックしておきたい。

»ドバイでラマダンの過ごし方(visitdubai.com)




PLATINUM HERITAGE
プラチナム・ヘリテージ
デザート・サファリで感動の砂漠体験を

dubai_column402エミラティの伝統に触れる、本格的なデザートサファリへのツアーを提供している旅行代理店「プラチナム・ヘリテージ」。キャンプはプライベートな豪華砂漠施設で、野生動物を観察するドライブはドバイ砂漠保護区で楽しめる。砂漠で星空を眺めたり、ヘドウィン族の文化に触れられる他、鷹狩りの実演まで、一生の思い出に残る砂漠体験が待っている。

»「プラチナム・ヘリテージ」公式Webサイト



EMIRATES
エミレーツ航空
2022年版「Global RepTrak® 100」にランクインしたドバイを本拠地とするエアライン

dubai_column04_03日本からドバイへ渡航するなら、成田・関西から、中東ドバイまで直行便を就航しているエミレーツ航空がおすすめ。公式Instagramアカウントでは、機体の様子やドバイでのイベントの様子をはじめ、機内で楽しめるカクテルレシピなども公開しているので、渡航の際はぜひチェックしてみて。

»「エミレーツ航空」公式Instagram
»「エミレーツ航空」公式Webサイト

協力:ドバイ経済観光庁

profile


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池田匡克 ジャーナリスト、イタリア料理愛好家

1967年東京生まれ。1998年よりイタリア、フィレンツェ在住。イタリア国立ジャーナリスト協会会員。イタリア料理文化に造詣が深く、イタリア語を駆使してシェフ・インタビュー、料理撮影、執筆活動を行う。著書に『伝説のイタリアン、ガルガのクチーナ・エスプレッサ』『シチリア美食の王国へ』『イタリアの老舗料理店』『世界一のレストラン オステリア・フランチェスカーナ』など多数。2014年イタリアで行われた国際料理コンテスト「ジロトンノ」「クスクス・フェスタ」などに唯一の日本人審査員として参加。2017年イタリア料理文化の普及に貢献したジャーナリストに贈られる「レポーター・デル・グスト」受賞。WebマガジンSAPORITA主宰。
イタリアを味わうWebマガジン「サポリタ」
http://saporitaweb.com//

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