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国際都市UAE・ドバイの住民の8割は外国人と言われており、街を歩くと純白の民族衣装トーブに身を包んだ男性や、漆黒の衣装アバーヤとナカーブで顔まで覆った女性の姿はよく見かけるものの、レストランやバー、カフェで接するのはほとんどが外国出身の人々だ。

そうした事情を反映してか、レストラン巡りをしていても、アラブ=エミラティ料理、ドバイ料理レストランというのは驚くほどに少なく、人気があるのはイタリア料理、インド料理、そして日本料理なのだ。2月に発表になった「中近東・北アフリカのベストレストラン50」ランキングを見渡してみると50位内中にドバイのレストランが16軒(さらにアブダブが3軒)と中近東随一の美食都市としての座に揺るぎはないのだが、そのうち純粋にエミラティ料理と呼べるレストランは実は一軒もない。それは世界の民族を受け入れることで発展してきたのと同様に、多くの料理を取り込み、受け入れることで料理文化が成熟してきたドバイならではのバックグラウンドがあるからだ。

そんなドバイでも現地らしさを感じられる料理を食べたいと思うのなら、ギリシャ料理やレバノン料理がおすすめだ。とりわけ、アラブ料理の中でも最も美味しいと言われているレバノン料理は、日本人には馴染みの少ない料理だが、かつては世界三大料理と言われることもあった。



開放感あふれる白くペイントされたテラスで、ギリシャ風タベルナを満喫
Fish Beach Taverna/フィッシュビーチ・タベルナ

dubai_top05(写真)左:ビーチに面した開放的なテラス。 右:「ギリシャサラダ」や「カラマル・タヴァ」「フィッシュ& チップス」などをシェア。

地理的に近いということもあり、西洋料理の中でもギリシャ料理はドバイでも人気が高い。今回おすすめしたい「Fish Beach Taverna(フィッシュビーチ・タベルナ)」は「ル メリディアン ミナ セヤヒ ビーチ リゾート&マリーナ」内にあるギリシャ料理店。レセプションからスタッフが運転する専用カートに乗り込みプライベートビーチへと下りてゆく。白とマリンブルー、ギリシャのナショナルカラーにペイントされたテラス席に座ると、まるでエーゲ海のサントリーニ島に来たかのよう。ここではその日獲れたばかりの新鮮な魚介や、カジュアル&シンプルなギリシャ伝統料理をシェアして楽しむのがいい。
dubai_greek&lebanese_01(写真)サービススタッフがこの日のおすすめとしてリコメンドしてくれた「タコのグリル」。

まずは定番のキュウリ、トマト、紫玉ねぎ、フェタチーズが入った新鮮な「ギリシャサラダ」を前菜に、カリカリに揚げたイカのフライ「カラマル・タヴァ」をきりりと冷えたロゼワインとともに味わう。ナイフもいらないほど柔らかく煮込んだ「タコのグリル」には定番のウーゾを。これはアニスやコリアンダーなどで香りづけしたギリシャ伝統の蒸留酒で、水で割ると白濁するのが特徴。日本人にとってはクセがあるやっかいな酒なのだが、タコ料理には実によくあうので一度お試しを。白砂のビーチの向こうには高層ビルが立ち並ぶ、ドバイならではユニークな景観も楽しめる。
dubai_greek&lebanese_02Photo&Text Masakatsu Ikeda

restaurant information


dubai_greek&lebanese_03 Fish Beach Taverna(フィッシュビーチ・タベルナ )

住所:Le Meridien Mina Seyahi Beach Resort & Waterpark, Dubai
Tel:+971-4511-7373
営業時間:12:00〜16:00、18:00〜23:00 年中無休






アラブ料理で最も美味しい、世界の三大料理の一つレバノン料理
Bebabel/ベバベル

dubai_greek&lebanese_08(写真)「ファラフェル・サラダ」。

ひと昔前は、世界三大料理というとフランス料理、中華料理、トルコ料理あるいはレバノン料理といわれていた時代があった。今現在はおそらくイタリア料理と日本料理が入ってくると思われるが、アラブ文化圏の中でもレバノンは歴史的にも地理的にもローマ帝国と密接なつながりがあり、独自の料理文化が発達してきた。地中海に面していることから新鮮な魚介も手に入り、シリア、ヨルダン、イスラエル、パレスチナなど近接する国や地域の料理との共通点も多く、トルコ料理への影響も大きい。アラブ語を母国語とする国々の料理=アラブ料理、の中でも最も美味しいと言われるレバノン料理がドバイでも人気が高いのはごく自然なことだろう。
dubai_greek&lebanese_07(写真)「コールド タラタス」。

レバノン料理店「Bebabel(ベバベル」」は世界最大のショッピングモール「ドバイ・モール」の中にある。店内からは華麗な噴水ショーが繰り広げられる「ドバイ・ファウンテン」も見えるので、特にディナータイムはロマンチックな雰囲気に包まれる。レバノン料理の特徴は、ゴマ、レモン、オリーブオイル、ヨーグルト、そしてハーブや野菜を多用しているのが特徴。中近東独特の香辛料は控えめなので西欧はもちろん日本人にも好まれている。
dubai_greek&lebanese_06(写真)「ムータバル」。

代表的料理といえばまずは「ファラフェル」。これはひよこ豆コロッケで、サクサクの食感が人気の永世定番。同じくヒヨコマメとゴマ=タヒーナをペーストにした「フムス」もやはりレバノンはじめアラブ圏の広い地域で食べられている伝統料理だ。もうひとつナスとゴマのペーストを使った「ムータバル」も試してみたいが、これはビーツを使った紫色の変わり種。こうした小皿料理は「メゼ」と呼ばれ、レバノンの家庭では日常的に食べられている常備菜だ。こうしたフムスやムータバルをホブスと呼ばれる全粒粉の薄焼きパンにディップ代わりに乗せて食べるのがアラブ風。気づけば全て野菜と豆ばかり。レバノン料理はヘルシーかつローカロリーなのでダイエット中の人やベジリタリアンにも人気なのだ。また、レバノンといえばアラブ圏随一のワイン生産国なのでレバノン・ワインもこの機会にぜひトライしてみたいところだが、残念ながら「ドバイ・モール」では建物の方針としてアルコールの販売が全面的に禁止されており、「ベバベル」にはワインリストはもちろん、一切のアルコールメニューがないのだ。
dubai_greek&lebanese_04 ちなみにドバイは、リベラルとはいえやはりイスラム圏なのでアルコールには厳しく、スーパーやショップでは一切販売していない。旅行者ならパスポート持参で市内数カ所にある専用のリカーショップで買うか、ホテル内にあるレストランやカフェなどで注文する以外ないのだ。そうした理由からドバイでは常時アルコールを提供できるホテル・レストランが旅行者を中心に常に賑わいを見せているのである。今回は取材時期がラマダンに重なったこともあり、空港の免税品店でさえアルコール販売コーナーは黒いカーテンで覆われていたことを付け加えておこう。

Photo&Text Masakatsu Ikeda

bar information


dubai_greek&lebanese_05 Bebabel(ベバベル)

住所:The Dubai Mall - Fashion Avenue, 1st Floor,Financial Center Road, Dubai
Tel:+971-4-419-0950
営業時間:10:00〜翌1:00
年中無休




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THE DUBAI MALL
ドバイ・モール
ファッション、エンタメも圧巻の世界最大ショッピングモール

ドバイのダウンタウン、「ブルジュ・ハリファ」に隣接する「ドバイ・モール(The Dubai Mall)」は世界最大規模を誇るショッピング、エンターテイメント、レジャーのすべてを楽しめるショッピングモール。現在1,300軒を超える小売店、2軒の大手デパート、何百軒もの飲食店が軒を連ね、一日ではとてもまわり切れない。お目当てのショップは事前に公式Webサイトなどでチェックして訪れるのがおすすめ。レストランやカフェなどの飲食施設も充実している。屋外に出ると人工湖のブルジュ湖が広がっていて、湖畔を散歩するのもおすすめ。ブルジュ湖では長さ275m、高さ最大150mを誇る世界最大の噴水ショー「ドバイ・ファウンテン」も毎日開催される。

「ドバイ・モール」公式Webサイト




dubai_column_03_02DUBAI AQUARIUM AND
UNDERWATER ZOO

ドバイ水族館とアンダーウォーター動物園
1,000万リットルの巨大水槽と3万3,000匹の水生動物

ドバイ・モールの3階には140種の海洋動物が生息する水族館と水生動物園があって、ショッピングの合間に幻想的な水中世界を観賞できる。ショッピングセンター内の一画に現れる巨大水槽の前には多くの人だかり。チケットを購入して48mのウォークスルートンネルを通り抜けると、サンドタイガーシャークやアカエイが泳ぐ姿が間近で見られる。底面がガラスになったボートツアーや魚たちへ餌やりなど体験型のアトラクションもあり、子どもから大人まで楽しめる。熱帯に生息する極彩色のオウムたちや全長5メートルのキングクロコダイルなど、日本では珍しい動物たちにも会える。ショッピングのついでに立ち寄れる気楽さもおすすめのポイントだ。

「ドバイ水族館とアンダーウォーター動物園」公式Webサイト



CULINARY BOUTIQUE
カリナリー・ブティック
エミラティの料理を学べる人気の料理教室

dubai_column_03_032015年に設立された「カリナリー・ブティック」は、市内や世界各地から集まるフーディーや料理愛好家に人気の料理教室。 エミラティの料理から、 レバノンの伝統料理まで、 さまざまな料理教室が開かれていて、参加者は1回で完結するセッションから、プライベート・マスタークラスまで、 お好みのスタイルでレッスンを選べる。

「カリナリー・ブティック」公式Webサイト

協力:ドバイ経済観光庁

profile


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池田匡克 ジャーナリスト、イタリア料理愛好家

1967年東京生まれ。1998年よりイタリア、フィレンツェ在住。イタリア国立ジャーナリスト協会会員。イタリア料理文化に造詣が深く、イタリア語を駆使してシェフ・インタビュー、料理撮影、執筆活動を行う。著書に『伝説のイタリアン、ガルガのクチーナ・エスプレッサ』『シチリア美食の王国へ』『イタリアの老舗料理店』『世界一のレストラン オステリア・フランチェスカーナ』など多数。2014年イタリアで行われた国際料理コンテスト「ジロトンノ」「クスクス・フェスタ」などに唯一の日本人審査員として参加。2017年イタリア料理文化の普及に貢献したジャーナリストに贈られる「レポーター・デル・グスト」受賞。WebマガジンSAPORITA主宰。
イタリアを味わうWebマガジン「サポリタ」
http://saporitaweb.com//

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