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ドバイには世界一と形容される施設や建築が多いが「パーム・ジュメイラ」もそのひとつだ。パーム=椰子の木形に作られた巨大な人口島群は長さ5キロもあり、左右に伸びた16本の椰子の葉型埋立地にはビーチやリゾートマンション、ホテルの建設が今も進行中。このまま進めば世界一のリゾート地となるとされており「世界八番目の不思議」とも形容されているほどだ。 「パーム・ジュメイラ」に注目が集まっているのにはもうひとつ理由がある。それはこの人口島にミシュラン3つ星クラスの世界のトップシェフとコラボしたレストランが、次々にオープンしているからだ。中でも現在最注目なのは世界一のシェフ、マッシモ・ボットゥーラさんのレストラン「Torno Subito(トルノスービト)」だろう。dubai_tornosubito2


心躍るヴィンテージポップの空間と料理
Torno Subito/トルノスービト

dubai_tornosubito1モデナにあるレストラン「オステリア・フランチェスカーナ」は現在ミシュラン3つ星、イタリアを代表する名店のひとつだ。オーナーシェフのマッシモ・ボットゥーラさんは「世界のベストレストラン50」で世界一に2度輝き、すでに殿堂入りを果たしている。東京にも昨年OPENしたグッチとのコラボ・レストラン「グッチ オステリア ダ マッシモ・ボットゥーラ」をフィレンツェ、LA、東京、ソウルと世界展開しているが、唯一の単独での海外展開がドバイの「トルノスービト」なのだ。

FD_02(写真)マネージャーのアンドレア・マリアネッチさん(左)とシェフのベルナルド・バラディーニさん(右)。
「トルノスービト」のテーマは古き良き60年代のイタリアが持っていた世界観。戦後の高度経済成長でイタリア人の暮らしは豊かになり、フェデリコ・フェリーニの映画「ドルチェヴィータ」に象徴される甘い生活が現実のものとなった。その当時、一世を風靡したイタリア料理も時の流れとともにオールドファッションドなものとなりつつあるが「トルノスービト」のコンセプトは古き良きイタリア料理を現代的視点でライトかつポップに再提案することを信条としている。
「トルノスービト」の厨房をまかされているのは来日経験もあるベルナルド・パラディーニさん。ボットゥーラさんのもとで長く働き、その難解なコンセプトを体現できる優秀なシェフだ。例えば「インサラータ・ディ・マーレ」はイタリアの家族が海に遊びに行く際に持って行くランチの定番。エビやイカ、タコなどのシーフードと茹でた米をオリーブオイルであえて、冷蔵庫で冷やしてから食べるのは夏休みの記憶を呼び覚ます味。ベルナルドさんは米の代わりにイカを小さく刻み、胃もたれしないようライトかつヘルシーに仕上げた。
dubai_tornosubito4(写真)イタリアの魚介サラダ「インサラータ・ディ・マーレ」もモダンに昇華。

「エビのカクテル2.0」も昔のイタリア料理への憧憬。カクテルグラスにエビをもりつけ、ケチャップとマヨネーズで作ったオーロラソースを添える「エビのカクテル」も、かつで大人気だった。ケチャップの代わりにエビの頭とトマトで作ったエマルジョンは現代的でライトかつより濃厚なエビの味が口中に広がる。
dubai_tornosubito5(写真)現代的でライトかつ濃厚に仕上げた「エビのカクテル2.0」。

一方ドバイで食べられる唯一の「オステリア・フランチェスカーナ」と同じ料理が「ラグーのタリアテッレ」だ。これは牛の頬肉や舌、レバー、などをそれぞれ別々に低温調理して最後にパルミジャーノとあえた手打ちパスタ料理。あえて大きめに切った牛肉は食べ応えがあり、少量ながらも満足度が非常に高い一皿。
dubai_tornosubito6(写真)「オステリア・フランチェスカーナ」と同じメニュー「ラグーのタリアテッレ」。

次に登場したのがなんとショッキングピンクのパスタ。ベルナルドさんのオリジナル「ピンキーブラインダーズ」だ。同名の映画をタイトルにした料理は、ベルナルドさんの出身であるローマの代表料理カチョ・エ・ペペにモデナの名産であるダークチェリーとパルミジャーノをあわせたもの。するとこのように鮮やかなピンク色のソースが完成するのだが、味わいもなかなかの絶品。チーズのコクと旨味がなんともいえない。
dubai_tornosubito7(写真)ローマの代表料理カチョ・エ・ペペにモデナの名産ダークチェリーをあわせた「ピンキーブラインダーズ」。
dubai_tornosubito8(写真)モデナの伝統料理「ボッリート」の現代版。柔らかく煮込んだ牛頬肉にアーティチョーク、クロロフィル、ジャルディニエラ=野菜のピクルス、デーツとバルサミコのソースを添えて。

最後のドルチェはこれまたユーモアたっぷりの「ティラミスービト」ティラミスと店名をあわせたネーミングだが「私をすぐに持ち上げて=食べて」という意味が込められている。
dubai_tornosubito9(写真)ティラミスと店名を掛けたネーミングの「ティラミスービト」。

ドバイにはゴージャス&ラグジュアリーをメインテーマとしたレストランも多く、いずれも賑わっているのだが「トルノスービト」はそれとは一味違うヴィンテージポップの空間と料理。温故知新はイタリア料理の永遠のテーマだが、古きを訪ねて新しきを知る、そんな言葉を具現化しているのが「トルノスービト」なのだ。

Photo&Text Masakatsu Ikeda

restaurant information


dubai_tornosubito_info Torno Subito(トルノスービト)

住所:Ground Floor, W Dubai – The Palm West Crescent, Palm Jumeirah,Dubai
Tel:+971-4245-5588
営業時間:12:30~15:00、18:30~23:30(土日 12:30~16:30、18:30~23:30)


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dubai_column_02_201PALM JUMEIRAH
パーム・ジュメイラ
セレブ達の別荘地として有名なアラビア湾の人工島

ヤシの木のような形をしたドバイのビーチ沿いにある観光地・別荘地として開発された人工島「パーム・ジュメイラ」。幹にあたる部分から、枝が16本延びていて、周囲は全長11キロメートルの三日月形の防波堤に取り囲まれている。ドバイ中心地から少し離れた西郊にあり、独特な形状をしていながらも海に突き出しているため、アラビア湾の長閑な雰囲気が漂うリゾート地区。タウンセンター、スーパーマーケット、2キロに伸びる海岸沿いの遊歩道、学校、モスクなどの施設が揃い、多くの宿泊施設はプライベートビーチやプールを備えていて、ドバイ市街の喧騒を離れてリラックスできる。島内の移動にはジュメイラ・モノレールも便利だ。

»パール・ジュメイラ(visitdubai.com)




dubai_column_02_202KITE‘N SURFSOUK
カイト・アンド・サーフ
パーム・ジュメイラでSUPを楽しむ

サンセットビーチとも呼ばれる人工島パーム・ジュメイラの海は非常に穏やかで、美しい夕日を眺めることができる。プライベートビーチ以外にも公共に開放されたビーチが多数ある。パーム・ジュメイラのビーチは波が高くないため、マリン・アクティビティとしてスタンドアップ・パドルボード(SUP)が人気。コツをつかめば初心者でも水面をスイスイと進むことができる。興味があれば「カイト・アンド・サーフ」で、スタンドアップ・パドルボードをレンタルできる。 ビーチでくつろぐのも良いが、海の上にたゆたうスタンドアップ・パドルボード体験は、陸の上からとはまた違った角度からパーム・ジュメイラの風景を楽しめる。

»「カイト・アンド・サーフ(Kite ‘N Surf)」公式Webサイト




HERO ODYSEA
ヒーロー・オディシー
ドバイのビーチをクルージングで堪能する

dubai_column_02_203海辺に展開するドバイのリゾート。多彩なマリン・アクティビティの中でも自動運転ボートツアー「ヒーロー・オディシー」は人気のひとつ。ドバイの海岸線をクルーズで進みながら、 世界有数のドバイの景色を楽しめる。 ひと際ビーチから眺めるスカイラインの美しさは、 忘れられない思い出に。

»「ヒーロー・オディシー」公式Webサイト

協力:ドバイ経済観光庁

profile


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池田匡克 ジャーナリスト、イタリア料理愛好家

1967年東京生まれ。1998年よりイタリア、フィレンツェ在住。イタリア国立ジャーナリスト協会会員。イタリア料理文化に造詣が深く、イタリア語を駆使してシェフ・インタビュー、料理撮影、執筆活動を行う。著書に『伝説のイタリアン、ガルガのクチーナ・エスプレッサ』『シチリア美食の王国へ』『イタリアの老舗料理店』『世界一のレストラン オステリア・フランチェスカーナ』など多数。2014年イタリアで行われた国際料理コンテスト「ジロトンノ」「クスクス・フェスタ」などに唯一の日本人審査員として参加。2017年イタリア料理文化の普及に貢献したジャーナリストに贈られる「レポーター・デル・グスト」受賞。WebマガジンSAPORITA主宰。
イタリアを味わうWebマガジン「サポリタ」
http://saporitaweb.com//

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