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夏に向かって暑さが増すこれからの季節。冷房を効かせた部屋で過ごすのに加えて、アイスクリームやビール、冷やし中華やそうめんなど、冷たい食べ物や飲み物をとる機会が増えると、気づかぬうちに胃腸はすっかり冷えきってしまうことに…。実は、"冷え"は春夏から始まっていて、 その冷えが蓄積され冬まで持ち越すことで慢性的な冷えや不調の原因になってしまうそう。

「平熱が、36,0℃以下であれば、自覚症状がなくても、冷えと言えます」と話すのは、神奈川歯科大学大学院統合医療学講座 特任教授の川嶋朗先生だ。「1957年に行われた日本人の平均体温調査では、全体の約70%の人が36.9℃でした。本来これが、体の機能を十分に働かせるために必要な体温と考えられます」とのこと。それから60年以上が経過し、運動不足や日常的なストレスを抱えがちな現代人のライフスタイルはさらに"冷え"を加速し、女性だけでなく、男性にも冷えを感じている人が増加しているという(引用:LINE株式会社調査)。とりわけ春夏の"冷え”は、気づかない間に慢性化しやすく、自覚がない「隠れ冷え性」「低体温」の人も増えている。体が冷えると、全身を巡る血液の循環が悪くなり、免疫力も低下、さまざまな病気やメンタルの不調にもつながりやすくなるという。解消するためには体温以上の温かい食べ物、飲み物をとることを心がけるようにするのが、食による温活の第一歩なのだそう。

春夏の冷えを解消する「鍋で温活のススメ」
身体を温め、野菜たっぷりオススメ春夏鍋レシピはこれ!
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料理家の浜内千波さんは、春夏に鍋料理を使うメリットについてこう話す。「鍋料理は、冬のものだけでなく、春や夏にも食べることで内臓ふくめ身体の隅々まで温まり代謝が上がり、春夏の冷えを一発逆転、冷え太りも解消、すっきりとしたスタイルを目指すことができます。鍋は一品料理であるにもかかわらず、不足しがちな野菜をたっぷりととることができ、タンパク質など含め栄養バランスもよい上に、料理も短時間ですむと、いいことづくめ。春夏にもぜひ温かい鍋料理を取り入れて、身体をいたわってください」。

そこで浜内さんが考案したおすすめの春夏鍋レシピをご紹介。これまでの食卓のイメージを一新する鍋の新提案「春夏の温活 “ス” タイル鍋」だ。”ス”タイル鍋の”ス”は、スプリング、サマー、すっきり、スタミナ、すっぱ辛い、スタイリッシュ等の意味ということで、パプリカ、ズッキーニ、玉ねぎ、トマトなどの夏野菜と、鶏胸肉を合わせた抗酸化力抜群の「すっきりラタトュイユ鍋」、サニーレタスや豆苗、ニラなどを豚肉と一緒に食べてスタミナ抜群の栄養が夏の疲れを回復へと導く「スタミナしゃぶしゃぶ鍋」、抗酸化作用のあるレモンに、脂質の少ないエビや豆腐のタンパク質を組み合わせたヘルシーな「酸っぱ辛い鍋」の3つのレシピは、ぜひ春夏の温活レシピとして参考にしてみて。



サラダ感覚で食べる抗酸化力抜群「すっきりラタトュイユ鍋」。
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ビタミンACE、リコピン、たんぱく質などが豊富。抗酸化作用のある食材を入れて、紫外線の気になる時期にぴったりな鍋。生姜は加熱することにより、体の芯から温めてくれる。つけダレは、ポン酢に、オリーブオイルと玉ねぎのみじん切りを加えて洋風に。シメのご飯に粉チーズをふると、リゾットのような味わいに。

<作り方>
パプリカ、ズッキーニ、玉ねぎは1cm幅の細切りにする。生姜は皮を削り薄切り、トマトは半分に切っておく。鶏肉は、1cmくらいの厚さに削ぎ切りする。全てを鍋に入れ、塩を入れてざっくりと混ぜ、水を注ぎ蓋をして火にかける。たれの材料を混ぜ、つけながらいただく。
<材料>
パプリカ 200g
ズッキーニ 200g
玉ねぎ 200g
生姜 20g
フルーツトマト 150g
鶏むね肉 300g
塩 小さじ1強
ポン酢 大さじ4
玉ねぎ微塵切り 50g
オリーブオイル 大さじ1
ごはん 適量
粉チーズ適量



豚肉×ニラで疲労回復効果抜群「スタミナしゃぶしゃぶ鍋」。
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ビタミンACE、ポリフェノール、ビタミンB1、硫化アリル(ニラ)、たんぱく質などがとれる。豚肉と一緒に、少し火の入った野菜を食べると、大量の野菜もあっという間に食べることができる。また、味付けされた汁に豚肉をくぐらせるとアクが出にくく、汁もおいしく味わえることで体が温まる。シメは中華麺がおススメ。

<作り方>
ニラと豆苗は5cm幅に切り、サニーレタスは1枚ずつはがしておく。鍋に水、酒、塩、醤油を入れ溶かして一煮立ちさせる。野菜、豚肉をしゃぶしゃぶしながらいただく。
<材料>
ニラ 100g
サニーレタス 1個
豆苗 1パック
豚ロース肉しゃぶしゃぶ用 200g
醤油 大さじ2
塩 小さじ1
酒 大さじ2
水 600cc
中華麺 1束



レモンと唐辛子が食欲を刺激するエスニック鍋「酸っぱ辛い鍋」。 harunatsunabe_03
ビタミンC、ポリフェノール、たんぱく質の摂取をメインに考案。さっぱりとして脂質の少ないたんぱく質を組み合わせたヘルシー鍋。唐辛子の効果で、発汗作用があり、すっきりといただける。レモンは火を通すことで甘みが増し、酸っぱさがまろやかに。ナンプラーやニョクマムなどを加えると、さらにエスクニックな味わいに。シメは春雨で。

<作り方>
鍋に水、塩を入れ溶かす。豆腐は一口大、キャベツはざく切り、レモンは薄切りにする。海老、豆腐、キャベツ、もやし、レモン、種をとった唐辛子を入れて。蓋をして火が通ったら出来上がり。
<材料>
エビ 10尾
豆腐 1丁
キャベツ 300g
もやし 200g
レモン 1個
唐辛子 3本
塩 小さじ2
水 600cc
春雨 30g



profile


浜内千波 / 料理研究家
徳島県生まれ。 料理研究家。食生活コンサルタント。ファミリークッキングスクール(東京・中野坂上)主宰。「料理は人を幸せにする」をモットーに、健康に留意した独創的なレシピ、人を惹きつけるコミュニケーションカに定評がある。

浜内千波の楽しいキッチン