fujiglamping_main.2jpg
都心近郊の自然派リトリートのスタイルとしてすっかり人気が定着したグランピング。従来のキャンプにはないプライベート感と高規格を追求した新しいグランピング施設が各地に続々とオープンし、より快適で多彩なレジャーを楽しめるスポットが急増中。その楽しみ方にもバリエーションが広がっている。
都心から約1時間半。今回、編集部が訪れたのは、風光明媚な水景を誇る富士北麓の忍野村に2022年GWにオープンした山梨県初の温泉グランピング施設「グランドーム富士忍野」だ。全8棟の客室は冷暖房完備の一棟独立タイプで、すべての客室に温泉風呂と専用のBBQスペースが備わったプライベート空間。もはやキャンプとは言えない快適すぎる"手ぶらでグランピング"だが、ぎらついた都心のビル群に飽きた誰もが、忙しい毎日に小休止を打つべく、野趣にあふれた里山の非日常を優雅に楽しめるリトリートスポットとしておすすめしたい。

日本有数のフィッシングのメッカで、静謐な自然に没入する贅沢。sen

oshino_sw2「グランドーム富士忍野」周辺は、世界遺産・忍野八海をはじめとする清流がめぐる日本名水百選に選ばれた日本屈指の名水の里として知られている。目の前を流れる桂川はまさにフライフィッシングのメッカで、ヤマメやイワナ、ニジマスの泳ぐ姿が目視できるほどに澄んでいて美しい。近隣のコンビニなどで遊漁券が購入できるので釣り道具を持参すれば、客室から直に川岸へ下りて朝な夕なにフィッシングも楽しめる。心が洗われるような清流のほとりで玲瓏な富士の眺めを独り占めできる絶好のロケーションは、川のせせらぎと野鳥のさえずりが天然のBGM。どんな現代的リゾートの豪華さにもまさるような、静謐な自然に没入できる贅沢な時間を提供してくれる。

完全プライベートの一棟独立タイプ客室すべてに温泉付き。sen
oshino03 客室タイプは1日1組限定の1棟貸切リゾートヴィラを含む全3種類で、全棟温泉風呂付きだ。唯一のヴィラタイプの「ヴィラフォレスタ」は、3LDKの広い間取りの82平米の客室で、21平方メートルのプライベートプールとバレルサウナを完備した3世帯も悠々宿泊できて別荘感を楽しめる。他、5棟はリバービューを臨むドームテント客室で、2棟は日本初登場のオリジナルテント「ラピステント」を採用した客室になっており、いずれも専用の客室とBBQができる食事スペースが設けられている。敷地内には、甲州ワインやおつまみ・スナックを無料で提供するキッチンカーやテントサウナなどもあり、思い思いの時間を自由に過ごすことができる。
oshino0424時間、客室専用の温泉は湯河原の天然温泉を運んできているとのことだが、忍野の静かで和やかな自然の中で天然温泉に浸かれる贅沢はこの上ない。好きな時間に温泉に浸かり、清流のそよぐテラスで夕涼み。富士山の稜線がくっきりし出す頃合いには、BBQの時間がスタートだ。

富士湧水が育んだ山梨ならではのご当地食材を味わうBBQ。sen
oshino05 グランピングの醍醐味でもあるBBQの夕食は、自分での持ち込みも可能だが、事前にプランを選択して山梨のこだわり食材を盛り込んだグランピングBBQセットを部屋まで運んできてもらえるのでとても気軽だ。晴れていればテラスにテーブルを出して焚火をしながら、ワイン片手にBBQを楽しみたい。もし天候が優れない場合でも、半室内の食事棟が完備されていて、こちらに食器類はもちろん、アウトドアギアの無料レンタルや調理器具も用意されている。至れり尽くせりな上に、プラスアルファで持ち込んだ食材によって思い通りのBBQが演出できるなど自由度が高いのも嬉しい。

山間部に位置する山梨県は、ぶどうや桃といった果実の特産やワイン、畜産まで、小規模ながらもクオリティを追求した特色のある農産物の生産が盛んなだけに、BBQセットの内容ももちろん充実している。地元農家の積極的な取り組みもあるといい、メインにはランク4‐5等級の豊かな風味とやわらかな肉質が特徴の甲州ワインビーフに加えて、14日間熟成牛のサーロインステーキが味わえる。魚には忍野村で養殖されている大型のニジマスのブランド魚、忍野サーモンが盛り込まれている。引き締まった身は鮮やかなサーモンピンクで独特な風味が、この土地ならでは。これはハーブ焼きでいただく。
oshino06スキレットには調味済みでグリルで温めるだけでOKのアワビのアヒージョやブイヤベースポットなど魚介や新鮮な野菜が並び、バゲットや〆のパスタなどボリュームもたっぷり。好みのワインやビールを持ち込んで、甲州ならではの地産の滋味を堪能したい。

朝靄ただよう河畔でベーグルサンドを楽しむ清々しい朝時間。sen
oshino07翌朝は、新鮮野菜や忍野サーモン、ヨーグルトなどが詰め合わされた朝食セットが用意される。少し早起きして朝靄ただよう河畔で深呼吸をした後に、グリルでベーグルを軽く焼いて、できたての朝食を楽しんだ。

筆者が訪れたのは4月の暮れだったが、忍野八海は隠れた桜の名所でもあり、冷涼な地域でもあることから施設の周辺はお花見に訪れた観光客でにぎわっていた。のどかな陽光に桜が舞う景色は趣深く、さながらで桃源郷のようでもあり、この桜の時期だけでなく、爽やかな新緑の夏場であったり、山深い紅葉の秋の頃や雪景色の冬など、きっと四季折々の借景に彩られるであろう忍野村に想いを馳せて、また訪れたい場所の一つとして心に刻まれることとなった。

「グランドーム富士忍野」を運営するマリントピアリゾートは、今後も京都府京丹後市を拠点にしたリゾート会社で関西・関東を中心に旅館・リゾートヴィラ・グランピング施設を21カ所運営し、国内グランピング運営会社としては施設・部屋数数ともに日本一。「グランドーム富士忍野」に先立って開業した「シーサイドテラス千葉鴨川」をはじめ、9月には「ヴィラ山中湖」、千葉「富津グランピング」、10月「ドッググランピング河口湖」、2023年7月茨木「ヴィラ小美玉」など、2022年以降、関東エリアを中心に10カ所以上の開業を予定している。アウトドア未満、リゾート以上で、その土地折々の自然に肩に力の抜けた心持で接することができるグランピング。自分にとってのお気に入りのリトリートスポットを開拓すべく、ぜひ注目してみてはどうだろう。

information


th_Glamping20220423_000124GLAMP DOME-グランドーム富士忍野

所在地:山梨県南都留郡忍野村忍草2834
Tel:050-3198-5844
宿泊棟数:8棟
Web予約はこちら