shiroiya_main1
2022年5月、星野リゾートが手がける都市ホテル「OMO5(おもふぁいぶ)金沢片町 by 星野リゾート」(以下、「OMO5金沢片町」が開業した。フラッグシップホテルの「星のや」をはじめ、国内外にさまざまなホテルブランドを展開している星野リゾートのなかでも、「OMO」は、「テンションあがる『街ナカ』ホテル」をコンセプトにした、ひときわユニークなブランドだ。東京、大阪、京都、札幌など、2022年10月現在、全国11カ所に展開している。

その「OMO5金沢片町」が誕生したことで、星野リゾートが手がける石川県内のホテルは、山代温泉の「界 加賀」とあわせて2つになった。であれば、金沢を訪れるのであればこの機会に、「2つの宿泊施設のハシゴをしてしまおう!」と相成ったわけである。
2015年に金沢まで新幹線開通して以来、東京と金沢の距離が大いに縮まった。もはや日帰りでも無理なく旅行できるようになったが、せっかくなら、時間を気にせずこの地ならではの一献に興じたい。そして、翌日は温泉でのんびり、なんて最高ではあるまいか。北陸新幹線に乗り、まずは金沢を目指す。メールの返信やら、細々とした仕事をしていたら、東京から金沢までは本当にあっという間だ。

金沢のグルメエリアに立地する「OMO5金沢片町」へsen

FD_02
「OMO5金沢片町」は、金沢駅からバスで約10分、金沢のなかでも屈指のグルメエリアである片町の一角、竪町ストリートの入り口付近にある。金沢きっての観光スポットである兼六園や金沢21世紀美術館も徒歩圏内と、この立地は金沢を堪能するのに絶好である。

最新のホテルだけあって、タッチパネルみでの完結するチェックイン・チェックアウトも機能的だ。もちろんやり方はスタッフがフォローしてくれる。宿泊者専用のコインロッカーも重宝する。宿泊のゲストであれば、チェックイン前も、チェックイン後も無料で利用できる。エントランスを入ると、金沢の郷土玩具「加賀八幡おきあがり」をモチーフにしたタイルアートが目に飛び込んできた。「金沢に来た」感がふつふつと盛り上がってきた。

1階はフロントやカフェスペース「OMOカフェ」などを配したパブリックスペース(OMOベース)となっている。「OMOカフェ」は宿泊のゲスト以外も利用可能で、筆者がチェックインした時は、地元の高校生がご当地スイーツを食べていた。電源も取れるので、旅先で、ちょっと仕事したい、なんて時にも便利だ。
shiroiya_ph04 客室は6タイプ101室。「暮らすように泊まる」をコンセプトにしていて、自宅にいるかのように素足で寛げるのが快適だ。和モダンな設えの客室も、金沢らしさにもあふれていた。カーテンは、金沢の冬の風物詩である「雪釣り」がモチーフとなっている。『KUTANI SEAL SHOP』とコラボした九谷焼のオリジナルそばちょこもかわいい。

ディープに金沢を体験できる「Go-KINJO(ごきんじょ)サービス」sen

そんな快適かつ、ローカル色にあふれる部屋でのんびり過ごすのも悪くないが、筆者は、「OMO」ブランドの最大の魅力は、なんといってもスタッフが街を案内してくれるOMOレンジャーと呼ばれるサービスにあると考えている。それぞれの道に長けたスタッフが、「Go―KINJO(ごきんじょ)サービス」の名のもと、街歩きをディープにサポートしてくれるのだ。記憶を辿れば、京都東寺では、「国宝の朝参り~空海にあえる朝~」に参加したことがあるが、旭川のはしご酒ツアーも楽しかった。そう、部屋で寛いでいる場合ではないのだ。
shiroiya_ph07まずは、金沢の老舗「落雁 諸江屋」が監修する「生らくがん作り体験」(要予約・1000円)に参加。OMOレンジャーのレクチャーのもと、材料を練り、型に入れ、それを外し、表面に模様を型押しするという、非常にシンプルな工程なのだが、意外と難しい。完成した後は待望の試食タイムだ。今回、初めて生らくがんの存在を知ったのだが、自然由来のやわらかな甘みにほっこりする。

その後もはりきって、OMOレンジャーによるガイドツアー「金沢片町味わいまっし散歩」(要予約・参加無料)に参加した。タイトルどおり片町を「味わう」ガイドツアーだ。知識豊富なOMOレンジャーが、金沢の歴史や文化のことをガイドしてくれ、たくさんの美味しい情報を授けてくれた。風情ある裏通りをそぞろ歩くのがまた楽しい。ツアーの途中では、人気菓子店「茶菓工房たろう 鬼川店」では試食とともに一息つける。
shiroiya_ph07
OMOレンジャーが紹介してくれる店は、どれもこれも美味しそうで、「いったい何泊すればいいの?」と頭を悩ませることになるが、それもまた旅の醍醐味。そもそもホテルで夕食を提供していないのは、金沢の街で金沢の食文化を楽しんでほしいという意図があるからだとか。なお、1階のパブリックスぺースには、おすすめの店を掲載した、「ご近所マップ」が掲げられていて、こちらもかなり参考になるのでおすすめだ。

ちなみに、筆者が参加した回は、バギーに乗った、わんこもツアーにジョインしていて、参加者のアイドルと化していた。部屋数は限られているが、OMO5金沢片町には愛犬とともに泊まれる部屋もある。今度は愛犬と金沢旅なんて、いいかもしれない。

とにもかくにも、金沢に定期的に通いたくなるホテルの誕生はうれしい限り。また、金沢が近くなった気がする。後ろ髪をひかれながら、「界 加賀」へと向かった。

»金沢・加賀の旅 「OMO5金沢片町 by 星野リゾート」「界 加賀」をハシゴする Vol.2

text by Aya Hasegawa

information


FD_02©Shinya Kigure
OMO5(おもふぁいぶ)金沢片町 by 星野リゾート

所在地:石川県金沢市片町1-4-23
Tel:050-3134-8095(OMO予約センター9:30〜18:00)