ル・グテ (c)Yusuke Kagayama
コロナ禍以降、「リモートワーク」という言葉が瞬く間に広まった。「ワーク(Work)=仕事」と「バケーション(Vacation)=休暇」を組み合わせた造語である「ワーケーション」の認知も上がっている。たしかにリゾート気分を満喫しながら仕事もこなせれば最高だと、ワーケーションプランを本格的にスタートさせた「ホテルインディゴ軽井沢」を訪れることにした。

「ホテルインディゴ」は、IHG ホテルズ& リゾーツのブランドのひとつだ。それぞれのホテルが位置するネイバーフッドの伝統と土地のスタイルに敬意を払い、最大限に生かすことをコンセプトとし、ホテルが立地する街の個性をいかしたローカル体験を提案する。現在、全世界にプロパティは130軒以上。筆者は、ヘルシンキとバンコク、そして、シンガポールのインディゴにステイしたことがあるが、特に印象に残っているのは、シンガポール・カトン地区にある「ホテル インディゴ シンガポール カトン」だ。客室は決して広くないが、プラナカン文化に彩られた内装やアメニティがかわいらしく、居住性も抜群だった。日本では、現在、箱根強羅と犬山、そして、軽井沢の3か所で展開。2023年秋には国内4施設目となる「ホテルインディゴ東京渋谷」が誕生する。

浅間山の大自然に抱かれた軽井沢ならではの、至高の別荘体験。sen
shiroiya_ph04 さて、2022年2月にオープンした「ホテルインディゴ軽井沢」で特筆したいのは、建築素材に木材を使用しているということだ。うち8割は長野県産のカラマツを使っている。カラマツは森を守るために欠かせない間伐材で、鉄筋コンクリートの建物以上に、炭素放出量を抑える役目があるそうだ。軽井沢駅からクルマで5~10分強という立地にありながら、ホテルがリゾートムードで溢れているは、木材を多用した使ったダイナミックな建築がおおいに影響しているのではないだろうか。
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ロビーに鎮座する大きな暖炉も心を沸き立たせる。東京の自宅を出てから、まだ2時間足らずだが、一気にリゾートモードにスイッチが切り替わった。ロビーで、早速、パソコンを広げるのも悪くないが、まずは客室へと向かおう。客室棟は、ロビーエリアを出て、浅間山の火山石をアクセントにした軽井沢の自然を彷彿させるフォレストガーデンを抜けたところに佇んでいた。ロビーから客室棟への、このアプローチがまた旅情を掻き立てる。

プライベートガーデンの付いた客室で森林浴をして寛ぐ。sen
客室数は155。最もスタンダードな「スタンダードキング ガーデンビュー」(32㎡)を含め、全ての客室にバルコニーが付いているのが大きな特徴だ。まずはそのバルコニーで、軽井沢の清々しい風に抱かれながら仕事をしてみることにしよう。
shiroiya_ph07客室の設えは、想像していた以上に、ポップ、そして、エレガントだった。ブルーを主体としたカーペットには軽井沢の森の木々が描かれている。壁にはオーストラリア出身で軽井沢在住の木版画家・テリー・マッケーナ氏による木版画が飾られていた。河合浩氏による水彩画も印象的だ。棚にはブリキ製のクラシックカーが飾られていた。木製のリスの彫刻も愛らしい。
shiroiya_ph07 客室だけでも十分仕事に勤しむことができそうだが、同ホテルは、ワーケーションサロンも備えている。ワーケーションプランの始動に伴い、オールデイダイニング「KAGARIBI」の2階エリアを、ワーケーションサロンとして開放。筆者しかり、部屋だと、ついベッドでゴロゴロしてしまったり、テレビを見てしまったりする人にはぴったりの場所だ。大きな窓からは外を眺めることができ、解放感もある。ここで仕事ができなかったら、もう仕事をするのは諦めた方がいいかもしれない。

イタリアンと薪香る軽井沢の新鮮食材のマリアージュ。sen
shiroiya_ph07今回、特に楽しみにしていた、「KAGARIBI」での食事についても触れておきたい。「KAGARIBI」は、信州産の牛や豚など地の食材をストレートに味わえる、ロースト料理が自慢のオールデイダイニングだ。近隣で摂れた野菜も瑞々しく、しっかりとした味わいで、自然と笑顔がこぼれる。ワインをはじめとしたアルコールのラインナップも充実。信州ワインだけで30種類以上を有するワインリストは一見の価値がある。
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ソムリエを務めるのは、「キンプトン新宿東京」で飲料マネージャーをしていた安藤修さん。面白いワインを集める彼が同ホテルに移ったと聞き、訪れる機会を心待ちにしていた。彼がセレクトしたお酒をたっぷりといただくことを目的に、日中、仕事に集中することができた。なお、「KAGARIBI」には愛犬の同伴が可能なテラス席もある。今度は愛犬を連れてきてみようと夢は広がる。

SPA、大浴場、モーニング。ワ―ケーションの合間に体験する極上のリラクゼーション。sen
モーニングビュッフェの完成度も高い。洋食から和食派までバラエティ豊かに取り揃えており、シグニチャーメニューは、スペイン風オムレツと、キャラメリゼしたフレンチトーストだという。前日のアルコールが残っているカラダにはうれしい、筑前煮など和惣菜や味噌汁もあった。新鮮な野菜もたっぷりいただき、ヘルシーに、ご機嫌に朝をスタートできる。冷蔵庫に並ぶ、色とりどりのジュースにも心が躍った。
shiroiya_ph07 なお、ワーケーションプランを予約すると、チェックイン時に、竹の繊維をパウダー状にして固めたバンブーファイバーで作られたバンブータンブラーが手渡される。滞在中、これを、ロビーラウンジやダイニング「KAGARIBI」へ持っていくと、コーヒーや紅茶などのドリンクを注いでもらえる。同ホテルでは、パリで人気のスペシャルティコーヒー専門店「ベルヴィル」のバリスタが軽井沢をイメージしてオリジナルでブレンドした「ミズナラ」を提供しており、これが清々しい軽井沢の空気と抜群の相性を奏でる。こんな風に、仕事に集中できる仕掛けが随所に施されているのだ。 shiroiya_ph07 たとえば、サウナや、疲労回復に効果のあると言われている炭酸泉の露天風呂を併設した大浴場も、ワーケーションの心強い味方だ。眠くなったらじゃぼん、朝、起きたら目覚めのじゃぼん。集中力が途切れたときに、すぐに足を運べるのがいい。これぞ、ワーケーションの醍醐味だ。

とことん「ホテルインディゴ軽井沢」の施設を味わいつくそうと、朝食後はスパで施術を受けることにした。同ホテルには、タイのウェルネスブランド「ハーン(HARNN)」のスパが入っている。日本で「ハーン」の施術が受けられる場所はまだそう多くない。「ハーン」の施術は、東洋医学と伝統的なメソッドを用い、またブラックペッパーなど、自然由来の素材を使ったオイルやバームなどを使用するのが特徴だ。タイの伝統的なテクニックであるストレッチの要素も取り入れた施術で心身が研ぎ澄まされていくのが体感できた。

ほぼホテルに篭りながら、しっかりとリチャージでき、軽井沢という土地の魅力も堪能できるのは、“ネイバーフッドストーリー”を大切にする「ホテルインディゴ」ブランドならでは。軽井沢の自然・文化・芸術を五感で感じることができた。また季節を変えて訪れたい、今度はいつがいいだろうなんて考えていたら、あっという間に東京に到着していた。この気楽さがまたいい。

text by Aya Hasegawa

information


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ホテルインディゴ軽井沢

所在地:長野県北佐久郡軽井沢町大字長倉字屋敷添18-39
IHG・ANAコールセンター:0120-056-658
ホテル代表:0267-42-1100
e-mail:reservations.hotelindigokaruizawa@ihg.com