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(写真)「ボタン海老 カリフラワー 柚子ブールブラン」
2022年6月にOPENしたばかりの「ウェスティンホテル横浜」はウェスティンが掲げる新世代の「ウェルビーイング」を体現化したライフスタイルホテルで「Sleep well=質よく眠る」「Move well=質よく動く」「Eat well=質よく食べる」を含む6つを柱としている。その「Eat well」を体験する貴重なイベントが、横浜を見下ろす23階のレストラン「アイアン・ベイ」にて開催された。

香港「Louise」のディナーコースを日本の食材でアレンジした
3日間限りの「アイアン・ベイ ガストロノミー」
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Westin20230308_000155ゲストシェフとして登場したのはアジアを代表するシンガポールのモダンフレンチ「オデット」オーナーシェフ、ジュリアン・ロワイエが香港にOPENした「ルイーズ」エグゼクティブ・シェフであるフランケリー・ラルーム氏。一方ホストシェフを務めたのは「ウェスティンホテル横浜」のエグゼクティブ・シェフ、ウィリアム・カハラ氏。2人はかつて「ザ・リッツ・カールトン・東京」の「アジュール フォーティーファイブ」でともに勤務。5年ぶりの共演となった3日限定のイベントでは、日本とアジアをよく知る2人のトップシェフがその高い技術を披露、日本の素材とフランス料理の高度な技法を組み合わせた特別な機会となった。

今回のために香港から来日したフランケリー・ラルーム氏は、ラテン気質を漂わせる陽気なシェフ。ウィリアム・カハラ氏は落ち着いた佇まいで厨房全体を俯瞰する雰囲気。好対照な二人が創り出す6皿の特別コースはいずれもゲストを唸らせる、素晴らしい料理の連続だった。

まず一口サイズのアミューズ「12ヵ月熟成コンテのグジェール ピーナッツマシュマロ、ウニトースト」とシャンパンでスタートすると「北海道産ホタテ ディルのマリネ - ホースラディッシュ、燻製サーディン」「ボタン海老 カリフラワー、柚子ブールブラン」と日本の新鮮な魚介をフランス料理の手法で仕上げた前菜が2種類。
Aman&Abruzzo08 Aman&Abruzzo02(写真)上:「12ヵ月熟成コンテのグジェール ウニのトースト」※取材時のメニュー。下:「北海道産ホタテ ディルのマリネ ホースラディッシュ 燻製サーディーン」

さらに温かい魚料理は「 一本釣り鮮魚のグルノーブル サバイヨン」で上品な肉質のキンメダイが登場。メインの肉料理「国産牛フィレの瞬間燻製 舞茸とフォアグラのダンプリング、発酵ペッパーのコンディメント オーバン14のビーフジュ 黒トリュフ」はフィレ肉の柔らかさを瞬間燻製を閉じ込めて香り付けした忘れがたい一品。
Aman&Abruzzo02Aman&Abruzzo02(写真)上:「金目鯛のグルノーブル サバイヨン パセリオイル」※魚は仕入れ状況による。下:「国産牛フィレの瞬間燻製 舞茸と国産牛バラ肉のダンプリング 発酵ペッパーのコンディメント オーバン14のビーフジュ」

最後のデザート「和歌山県産柑橘のテクスチャー バジルソルベ」もその美しさと上品な芳香が長い余韻を残してくれた。
Aman&Abruzzo02(写真)「和歌山県産柑橘のテクスチャー バジルソルベ」

食後にテーブルに挨拶に来てくれたフランケリー・ラルーム氏は、パリの名門「パヴィヨン・ルドワイヤン」やカンヌの「ラ・パルムドール」でキャリアを重ねたのち上海シャングリ・ラホテル内の「ジェード オン36」を「アジアのベストレストラン50」ランクインさせた実績を持つ。日本では「アジュール フォーティーファイブ」にミシュラン1つ星をもたらしたのち2019年に「ルイーズ」エグゼクティブ・シェフに就任したという。5年ぶりの日本はとてもエキサイティングで、久しぶりに日本の空気と食材を堪能している、と嬉しそうに話してくれた。何よりも「ウェスティンホテル横浜」のコンセプトである「ウェルビーイング」を自ら実勢しているかのように、伸び伸びと楽しみながら料理し、サーブするその姿が何よりも印象的だった。

美食を通じて3つの「ウェルビーイング」を提案する「ウェスティンホテル横浜」は開業2年目を迎える2023年度はゲストシェフ招聘はじめ、様々なイベントが予定されており、次回のガストロノミーイベントにも是非注目したい。

text & Photo by Masakatsu Ikeda

restaurant information


aman-tokyo-arva-interior アイアン・ベイ(ウェスティンホテル横浜)

住所:横浜市西区みなとみらい4丁目2-8 23階
Tel:045-577-0888
e-mail:restaurants.yokohama@westin.com
営業時間:17:30~22:00(L.O. 21:30)
定休日:毎週月曜、火曜
https://ironbay.westinyokohama.com/


profile


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池田匡克
ジャーナリスト/イタリア国立ジャーナリスト協会会員

1967年東京生まれ。1998年よりイタリア、フィレンツェ在住。イタリア料理文化に造詣が深く、イタリア語を駆使してシェフ・インタビュー、料理撮影、執筆活動を行う。著書に『伝説のイタリアン、ガルガのクチーナ・エスプレッサ』『シチリア美食の王国へ』『イタリアの老舗料理店』『世界一のレストラン オステリア・フランチェスカーナ』など多数。2014年イタリアで行われた国際料理コンテスト「ジロトンノ」「クスクス・フェスタ」などに唯一の日本人審査員として参加。2017年イタリア料理文化の普及に貢献したジャーナリストに贈られる「レポーター・デル・グスト」受賞。2023年「ITALIAN WEEK 100」のディレクターに就任。