ここ数年次々に新しいプロジェクトが誕生する渋谷にまたひとつ話題のスポットが誕生した。桜丘エリアに誕生した「Shibuya Sakura Stage」のSAKURAタワーに2024年2月26日に開業した「ハイアット ハウス 東京 渋谷」だ。 ここ数年次々に新しいプロジェクトが誕生する渋谷にまたひとつ話題のスポットが誕生した。桜丘エリアに誕生した「Shibuya Sakura Stage」のSAKURAタワーに2024年2月26日に開業した「ハイアット ハウス 東京 渋谷」だ。

その「ハイアット ハウス 東京 渋谷」のメインダイニングとなるのが「Restaurant MOSS CROSS TOKYO」だ。滞在者向けの朝食からランチ、ディナーまで単身ステイのゲストにも利用しやすいように配慮されたアラカルトメニューもあり、いつでも楽しめる「ユージュアル・ダイニング」をコンセプトとしている。しかし提供される料理はというとスペシャル感溢れるラインナップで、日本の食材に東洋のエッセンスを加えたフランス料理「和漢洋才キュイジーヌ」で、食べる人の心身を癒し労わる医食同源的料理を体感できるのだ。

今回総料理長に就任したのはフランス三つ星初め「CROSSグループ」でキャリアを重ねた福島信幸氏。薬膳漢方を学んだことからフランス料理の技法にさまざまなスパイスや薬膳、発酵を取り入れており、今まで味わったことがないような新しい料理を追求している。また、それまで福島県いわき市のトマトのテーマパーク「ワンダーファーム」併設の「CROSS WONDER DINING」料理長だっただけにファーム・トゥ・テーブルの料理哲学が新天地でも引き継がれている。8皿からなるコース「Dear Artisan」は丹精込めて食材を作る職人たちに捧げられていることはいうまでもないだろう。
SHOKADO-9

最初に登場するアミューズが「季節の薬膳ブイヨン・ドゥ・レギュームと旬野菜」で、この日はくこのみ、そら豆，白キクラゲが入った薬膳風。上質なスープが体に優しく、温石的発想で胃を温めてくれる。「SHOKADO - 9」は「MOSS CROSS TOKYO赤坂店」の代表メニューでもある、松花堂弁当のように9つの仕切りに別れた豆皿料理。ボタン海老やハマグリ、和牛など旬の食材がピータンや発酵ビーツ、味噌、シュレなどとともにさまざまなスパイスを通じて味わえる。


フカヒレのステーキ　プロヴァンス風

関村牧場　漢方和牛のフィレ　 アンディーブ　黒にんにくのレディクション

「フカヒレのステーキ　プロヴァンス風」は炙ったフカヒレにサフランのソースが香り高く、下には加熱したフェンネルが忍ばせてある。メインディッシュとなるのは牛骨粉を使用せず、14種類の漢方を独自にブレンドしたオリジナルの飼料で育てた関村牧場の「漢方和牛」のフィレ肉の炭火焼き。漢方で育てられた牛肉は味わい深く、やわらかく、脂の融点が低いので胃にももたれない。黒ニンニクを煮詰めたソースとの相性もばっちり。


ハーブサルシッチャを使ったトマト麻婆豆腐

コースの最後に登場するのが「サルシッチャ入りトマト 麻婆豆腐と米」でこれはイタリア、中国、日本の融合。トマトのテーマパークで腕を振るった福島シェフならでは料理はサルシッチャの熟成感とトマトの酸味にスパイシーな麻婆豆腐が絶妙のハーモニー。米はターメリックを使って黄色く仕上げてあり、ミラノ風リゾットを思わせる。

福島シェフは福島県で地域に根ざした食文化や社会的意義に影響を受け、福島県の食材を積極的に使うことで社会貢献も目指している。フカヒレをとったあとのサメの肉も積極的に使うなど、環境に配慮した「日本の食を大切にする」レストランを目指す。料理も素晴らしいが、渋谷から目黒、世田谷方面まで一望できる眺めもまた格別。東京の今を体験する新感覚の料理とステイに注目だ。

text & photo by Masakatsu Ikeda