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Photo by Reiko Masutani

ヨーロッパの中央に位置するポーランド。北はバルト三国と海をまたいだ南に位置し、南は山脈を国境にドイツやチェコ、スロバキアなどの隣国と接している。川や森、肥沃な大地の恵みは、自然と調和して暮らすポーランドの人々の食文化を生み出した。さらに周辺諸国からもたらされた食文化が融合し、独自のポーランド料理が現代まで進化を続けている。

近隣諸国による支配の影響からたびたび分裂や消滅を繰り返し、その国境は幾度となく変化した。そのため、近隣国の食文化を独自に発展した料理も多く、たとえば、東欧や西アジアでよく見かける水餃子風の「ピエロギ」はポーランド人にとってもソウルフードのひとつだ。日本の水餃子のようにタレにつけて食べるのではなく、中の具が塩やスパイスなどでしっかり味付けされている。中の具もさまざまで訪れる店ごとにトライしたくなるはずだ。

ピエロギやジュレックスープ、ポーランドのソウルフード
artsinhk2-8 artsinhk2-9(写真)上:ピエロギ 下:ジュレックスープ

諸外国のグルメを堪能することが大好きな筆者だが、ポーランド料理の美味しさはイチ推しだ。筆者の最大のお気に入りは、ライ麦を発酵させて作る「ジュレックスープ」だ。ライ麦とハーブを混ぜて発酵させたライ麦酸をベースにした、“酸っぱい”スープで、中に入れる具は、白ソーセージや野菜、キノコ類など、やはり店によって異なる。「ピエロギ」同様、店によって個性が出るのも楽しい。

アート地区にあるミシュラン hub.praga(ハブ・プラガ)
artsinhk2-6(写真)ワルシャワ随一のアート地区として知られる「ワルシャワのソーホー」、プラガ。

首都ワルシャワではミシュランが推奨するレストランにも足を運んだ。「ハブ・プラガ」では、コーズィーな空間で、近郊で採れた食材を使った創作料理を食べることができる。プレゼンテーションも美しく繊細でわくわくする。ナチュラルワインで構成されるペアリングもぜひオーダーしたい。なお、店名になっている「プラガ」とは、同店が位置するエリアの名称だ。ワルシャワを二分するヴィスワ川の東岸にあり、近年、若いアーティストたちがこぞって移住していることから、ワルシャワ随一のアート地区として知られ、「ワルシャワのソーホー」と呼ぶ人もいる。
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「ハブ・プラガ」のような前衛的な飲食店やバーのほかにも、第二次世界大戦後に制作されたポーランドのネオン広告を集めた「ネオンミュージアム」や、ポーランドにおける600年のウォッカの歴史や生産工程などが見学できる「ウォッカミュージアム」など見どころは多い。
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information


hub.praga(ハブ・プラガ)
住所/Jagiellońska 22/LU1, Warsaw, 03 719
Tel:+48 570 610 550


古き良き食文化をモダンポーランド料理へと昇華 Epoka(エポカ)

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「エポカ」もミシュランがおすすめする一軒だ。同店のコンセプトは、戦争で失われた、古き良きポーランドの食文化を現在に蘇らせること。旬の素材を用い、伝統の調理法やプレゼンテーションに現在のエスプリを加えた料理を提案する。コース料理のみで2つのコースを用意しているが、いずれも小さなポーションで皿数は多い。そして、その個々の料理のストーリーがそれぞれ興味深い。古のレシピと現代の料理技術、旬のポーランド食材がシームレスに融合する料理は記憶に深く刻まれるだろう。
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information


Epoka(エポカ)
住所/ul. Ossolińskich 3, Warsaw, 00 072
Tel:+48 666 115 566
Text by Aya Hasegawa, Photo by Reiko Masutani

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 Polska 2024 東欧の国、ポーランド旅行のすすめ 
Vol.1 ショパンの音楽、そして鼓動が感じられる街・ワルシャワ
Vol.2 ポーランドの伝統料理と現代料理
Vo.3 世界遺産、中世の街並みを残す古都トルン