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Photo by Reiko Masutani

2024年1月現在、17の世界遺産を有するポーランドは観光の面からみても魅力的な国だ。ポーランドで世界遺産というと、アウシュビッツ強制収容所や、かつてポーランド王国の首都として繁栄した、古都・クラクフの歴史地区が有名だが、ほかにも足を運びたい場所はいくつもある。筆者が印象深かったのは、ポーランドを広く南北に流れるヴィスワ川に面し、東西南北の交差点として14世紀に栄えた古都トルンだ。

トルンは、第二次世界大戦の戦火を免れたため、ゴシック建築を中心とした中世の街並みがほぼそのままの形で残されており1997年に世界文化遺産に登録された。ワルシャワから電車で約3時間という立地も良さも相まって、ポーランド国内や近隣のヨーロッパの国の人々の、週末の小旅行のデスティネーションとしても人気がある。トルンを案内してくれたガイドは、首都ワルシャワに比べると、比較的物価が安く、そこも魅力だと話していた。

Muzeum Mikolaja Kopernika コペルニクス博物館
artsinhk2-6(写真)世界遺産の中世都市トルン
artsinhk2-6(写真)コペルニクスの生家

数々の美しい教会など12世紀前後に建てられた建物が林立する街を歩くだけでも楽しいが、「コペルニクス博物館」として公開されているコペルニクスの生家にも足を運びたい。地動説を唱えたコペルニクスは、1473年、裕福な商人の父親のもとトルンで生を受けた。

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Muzeum Mikolaja Kopernika(コペルニクス博物館)
住所/ul Kopernika 15/17, Torun



Gingerbread museum ジンジャーブレッド博物館

トルン名物のジンジャーブレッド・ピエルニクもぜひ食してみたい。街にはピエルニクの専門店がいくつもあり、「ピエルニク博物館」ではピエルニク作りを体験することもできる。日持ちもするので、お土産にもおすすめだ。
artsinhk2-6(写真)シナモン、ジンジャー、カルダモンなどのスパイスをたっぷり使ったジンジャーブレッド「ピエルニク(Piernik」。中世からポーランドの人たちに愛されてきたトルンの名物だ。

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Gingerbread museum(ジンジャーブレッド博物館)
住所/Nerudova 9, Praha, 118 00



ハンザ同盟都市として栄えた自由都市グダンスク
artsinhk2-6(写真)グダンスクの街

北部の港町・グダンスクも再訪したい街だ。13~14世紀にはバルト海沿岸地域の貿易の窓口となり、ヨーロッパ北部経済圏の覇権を握ったハンザ同盟の都市として栄光を極めた。しかし、第二次世界大戦では、ドイツの攻撃により旧市街の約80%が焼失。ゴシック様式の教会やルネサンス様式が混在するカラフルな建物の多くは、戦後、市民たちが再現したものだ。グダンスクは、現時点では世界遺産には登録されていないが、世界遺産の暫定リストには掲載されており、正式に世界遺産に登録される日も近いのではないかとも言われている。
artsinhk2-6(写真)グダンスクは琥珀の特産地
artsinhk2-6(写真)聖ブリギダ教会の聖母マリア像

バルト海に面したグダンスクは、琥珀の生産地としてもその名を轟かせている。かつてバルト海沿岸で採取された琥珀はグダンスクに集められ、グダンスクから世界各地へと運ばれた。現在も良質な琥珀が良心的な価格で手に入る。「聖ブリギダ教会」はガイドブックにあまり掲載されていない穴場だが、同教会の琥珀の聖母マリア像は必見。長い時間をかけて集めた琥珀で作られた祭壇は畏敬の念を感じさせる神々しさと美しさに溢れている。

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St Bridget's Church(聖ブリギダ教会)
住所/Old Town Gdańsk

Text by Aya Hasegawa, Photo by Reiko Masutani

 Polska 2024 東欧の国、ポーランド旅行のすすめ 
Vol.1 ショパンの音楽、そして鼓動が感じられる街・ワルシャワ
Vol.2 ポーランドの伝統料理と現代料理
Vo.3 世界遺産、中世の街並みを残す古都トルン