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北海道の支笏湖畔に立つ静かな美食の温泉宿が「レイクサイドヴィラ翠明閣」だ。北海道で最も深い水深363mを誇る支笏湖は、4万年前の火山の噴火によってできたカルデラ湖であり「シ・コッ(大きな窪地)」というアイヌ語の語源である。透明度が非常に高く、晴れた日には湖面が青く輝くことからその独特な色は「支笏湖ブルー」と呼ばれ、良質な水は千歳の重要な水源として人々の生活を支えてきたのだ。

白樺の林を抜けて「レイクサイドヴィラ翠明閣」に到着すると目の前には広大な支笏湖が青く輝いていた。目の前に見えるのは恵庭岳、風不死岳、そして樽前山。青く輝く湖水の彼方には人工物が一切見えない大自然が広がる。支笏湖の大自然に抱かれて「レイクサイドヴィラ翠明閣」で過ごす一夜への期待が高まる。
fukui_01ph01(写真)「レイクサイドヴィラ翠明閣」の眼前に広がる支笏湖。温泉付きの客室は全室が絶景のレイクサイドビューだ。

北海道・支笏湖の自然に抱かれる贅沢ヴィラsen

「レイクサイドヴィラ翠明閣」は白樺に囲まれて立つ、8室限定の瀟酒な温泉宿だ。今回泊まったのは「和洋特別室」でどことなく大正モダンを思わせるような、古き良きそれでいてどこかモダンな空気が漂う。ベッドルームからでも和室からでも、また天然温泉をひいた浴室からも支笏湖がよく見える。湖までほんの数メートルの距離にあるので、浴槽に身を委ねながらも露天風呂で過ごしているような気持ちになる。また「レイクサイドヴィラ翠明閣」には石造り「翡翠」と檜造り「瑠璃」という2つの貸切露天風呂があるのでチェックイン時に予約しておきたい。fukui_01ph01fukui_01ph01(写真)支笏湖温泉の泉質は、とろりとした特有の湯ざわりで、肌をなめらかにするナトリウム(炭酸水素塩素)が豊富。窓からは支笏湖の美しい光景が望める。

食を通じて北海道をクリエイションする、北海道ガストロノミー

ディナータイムは2017年「ミシュランガイド北海道 ビブグルマン」を獲得したイタリアン「アズーロ」へ。ここでは根本明弘シェフによる北海道食材をメインにした「北海道ガストロノミー」が味わえる。fukui_01ph01(写真)左/レストラン「アズーロ」 右/「遺骨個の山菜とプロシュート」

根本シェフは自ら森に入って山菜や木の芽をとり、支笏湖ではヒメマス釣りに出かける。そうして自ら採取した食材が次から次へのメニューには登場する。コース形式のディナーでは北海道の遅い春を表現する「支笏湖の山菜とプロシュート」から始まった。山菜はハリギリ、タラノメ、ウド、コシアブラ、行者ニンニクを軽い衣でフリットにしてあり、プロシュートの塩気とのコンビネーションで食べる。

suimeikan05(写真)左/「発酵塩レモンと石狩ラ・ターブルベールさんのはちみつ 自家製マヨネーズ」 右/「根室産活北寄貝のイン・パデッラと山菜のソテー 自家製魚醤と」

「根室産サクラマスのマリネと道産ホワイトアスパラの冷製」に北海道ならではの色彩を感じ「根室産活北寄貝のイン・パデッラと山菜のソテー」では特大サイズの北寄貝の美味しさに驚く。「根室産大鮃のソテー」は北の海でしかみられないオヒョウを使ってあり、支笏湖産の姫竹と、根本シェフが森で採取したという木の芽がアクセントになっている。
fukui_01ph01(写真)「根室産大鮃のソテー 支笏湖産姫竹と浅利貝のスープ仕立て 木の芽を添えて」
fukui_01ph01(写真)左/「支笏湖産行者にんにくのスパゲティ」

最も根本シェフらしい料理といえば「支笏湖産行者にんにくのスパゲッティ」だろう。行者にんにくとはアイヌの人々がプクサと呼んで珍重した山菜で、ビタミンが豊富なことから山の暮らしには欠かせない必需品でもあった。根本シェフは行者ニンニクのペーストにペコリーノを加え、色鮮やかなジェノヴェーゼ・ソース風に仕上げた。ジェノヴェーゼ・ソースとは本来フレッシュなバジリコ、松の実、EXVオリーブオイル、パルミジャーノ、ペコリーノでつくる北イタリアの沿岸部ジェノヴァの伝統的ソースだが、大航海時代にはビタミン不足から脚気に悩んだ船乗り達が携行した栄養豊富な完全食品。根本シェフの「支笏湖産行者にんにくのスパゲッティ」も、一口食べれば力がみなぎってくるような気になる。
fukui_01ph01(写真)「旭川高砂牛サーロインの炭火焼と長沼町押谷ファームさんのグリーンアスパラガス」

北海道の恵みが詰まった上品な和朝食
fukui_01ph01(写真)釜炊きの北海道米とともに和食のお惣菜の朝食膳。

翌朝窓を開けると支笏湖には一面に朝靄が立ち込めており、朝日を受けて幻想的な風景が漂っていた。朝食は「アズーロ」でいただく和食。サクラマスやタコの刺身、タケノコの煮物、ニシンなど前夜とは違った形で再び北海道の恵みを味わう。ちなみに「アズーロ」とはイタリア語で「青」という意味。「レイクサイドヴィラ翠明閣」から眺めた支笏湖の青さは忘れ難いほどの美しさで、チェックアウトした後もいつまでも後ろ髪を引かれるよう。また戻ってきたいと思わせる魅力にあふれた滞在だった。帰りに時間があれば湖畔にある「支笏ビジターセンター」に寄ってみるのもいいだろう。ここでは支笏の歴史や動植物が展示されており、また違った側面から支笏湖の魅力に出会えるはずだ。

information


fukui_01ph01支笏湖温泉 レイクサイドヴィラ翠明閣

所在地:千歳市支笏湖温泉
Tel:0123-25-2131(受付時間9:00~18:00)
客室:全8室
車/新千歳空港から、道道16号で約45分。札幌市内から、国道453号から約1時間。
バス/支笏湖バスターミナルまで送迎有(要予約)