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「コモ シャンバラ エステート」の「霧の森」の意を持つワナカサ レジデンス。

「コモ ホテルズ アンド リゾーツ」(以下、「コモ」)は、ホリスティックなウェルネスプログラムや美食で知られる、シンガポールに拠点を置くホテルブランドだ。2025年8月現在、世界10カ国に18軒のホテルとリゾートを展開しながら、日本にはまだ上陸していない“知る人ぞ知る”存在だ。

筆者はこれまでモルディブ、バンコク、プーケットで、「コモ」に宿泊したことがあるが、いずれもウェルネスにフィーチャーし、地域性を重視。それぞれの立地に合わせたナチュラルテイストな設え、徹底した温かで洗練されたホスピタリティに心打たれた。自然との一体感を味わえるのもいい。次の休みにどこに行こうか考えている時、「コモ」のホームページを見ていると、インドネシア・バリ島に3つのコモのホテルがあることに気づいた。「そうだ、3つの『コモ』をホッピングしてみるのはどうだろうか」と、バリ島行きを決めた。

心・身体・マインドの調和を取り戻すウェルネスリトリートを。sen
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最初に足を運んだのは、「コモ シャンバラ エステート」。2005年にオープンし、今年20周年を迎える。日本人にも人気のウブドの中心地から20分ほど車を走らせると、アユン川の急流を眼下に望む溪谷にまばゆいばかりの緑に囲まれたジャングルが広がっている。「コモ シャンバラ エステート」はその大自然の中に佇む。敷地内では、野生の猿に出会うこともしばしばだ。
「シャンバラ」とは、サンスクリット語で「平和」や「ユートピア」を意味する。その名を冠するのは、世界中に展開する「コモ」のホテルの中でも、この「コモ シャンバラ エステート」だけ。「コモ」の中でも特にウェルネスに特化している。

アユン溪谷に寄り添う9ヘクタールの広大な敷地に、30室の客室をはじめ、レストランやスパなど、さまざまな施設が点在している。4~5つの客室で、5つ(風、土、火、水、森)のエレメンツからインスパイアされた「レジデンス」と呼ばれる小さな集落を形成。それぞれに共用で利用できるリビングやプールがある。客室はすべて渓谷ビューで、目覚めるたびにそのスケールの大きさに圧倒される。建物には、バリの伝統的なアランアラン葺きの屋根や、樹齢200年前後の希少なジャワチーク材が使われており、バリの地を存分に体感できるのも「コモ」ならではだ。
shiroiya_ph04 ウェルネスを前面に掲げる同リゾートでは、ヨガや瞑想、ウォーキングなど、滞在中に無料で参加できるアクティビティが充実している(アクアサーキットトレーニングやマウンテンバイクツアーなど一部は有料)。チェックイン時に配布されるプログラム表を見ながら、どれに参加するか計画を立てるのも楽しい。もちろん、時間に縛られず、ピースフルな雰囲気のなかでのんびり過ごすのもいい。ここでは誰にも急かされない。

緑豊かな庭園には、古代から湧き出る聖なる泉で浄化を体験する。sen

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そんななか、体力に余裕があればぜひ足を運びたいのが、レジデンスエリアから階段を約400段下った先にある湧き水のプールだ。もちろん、帰りは同じ道を上ってこなければならないが、「こんな体験はなかなかできない」と意を決して階段を降りてみることにした。

階段は勾配こそ急だが、造りはしっかりしており、安全面の不安はない。想像していたよりも早く、15分ほどで目的地に到着した(とはいえ、帰り道の“登り”のほうがきついので、途中で休みながら戻ってこられた)。

到着したプールは、想像以上にスピリチュアルな空間だった。湧き水のプールだけに、水温は調節されておらず、ひんやりと冷たい水に一瞬たじろぐ。そして、深い。場所によって深さが違うのだが、158センチと日本女性のほぼ平均身長である筆者は足のつかないところのほうが多かった。 shiroiya_ph07スタッフによれば、この水は何百年も前から、地元の人々が聖なる水として大切に使ってきたものだという。それを聞き、思い切って飛び込んでみた。冷たい水に身を沈めると、どこか自分が浄化されたような気持ちになる。

そして、「コモ」のホテル全般に言えることだが食事が美味しい。オーガニックの野菜や地元の食材を多用。ナシゴレンやサテなど、おなじみのインドネシア料理も一味違う。砂糖・塩分が極力控えめ、人工的な添加物は一切使用していないので、素材の味が際立つ。ヴィーガンのメニューも多数用意されていた。
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「コモ シャンバラ エステート」の究極のウェルネスリトリートで浄化された後は、ここよりもウブドの中心地に近い「コモ ウマ ウブド」、そしてバリ島の南海岸にあり、屈指のサーフポイントとして知られる、チャングーエリアの「コモ ウマ チャングー」へと向かう。

»【Bali】バリ島究極のウェルネスリゾート、3つの「コモ」をめぐる旅 Vol.2

text by Aya Hasegawa

information


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コモ シャンバラ エステート
(COMO Shambhala Estate)


所在地:Banjar Begawan, Desa Melinggih Kelod, Payangan, Gianyar 80571, Bali, Indonesia