東京・白金台の「八芳園」が、7か月にわたる創業以来最大規模の改修を経て10月1日にグランドオープンを迎える。約400年の日本庭園と、1943年創業以来80年以上培ってきた日本文化とおもてなしの伝統を軸に、婚礼施設から“生涯式場”へと進化。 婚礼事業にとどまらず、今後はMICE(会議・研修・国際イベント等)に対応する施設やサービスの強化を進めるとともに、白金台から白金・高輪エリアへと広がる地域展開を推進し、文化資産を活用したライフイベントプロデュース事業にも取り組む。

今回の改修のコンセプトは「日本の、美意識の凝縮」。テーマに「継承と創造」を掲げ、2043年の創業100周年を見据えて空間を再編した。バンケットを15会場から11会場へと集約し、一会場あたりのキャパシティを拡大。また日本庭園と建物の調和を取り戻し、人が集う交流の場としての質を高めるとともに、その価値を次世代へと受け継いでいくことを目指している。

日本庭園と建築の調和が息づく ― 八芳園、新たな象徴へ。sen
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(写真)メインロビーを彩る組子アート「光風庭伝」 と"松"をモチーフとしたシンボルツリー。

施設デザインも大きく刷新された。エントランスは庭園を眺めながら進むアプローチへと一新され、来館者が必ず自然に触れてから館内へ入る導線が設けられた。メインロビーに足を踏み入れると、日本を代表する水墨画家と大川組子の職人が手がけた高さ4メートルの組子アート「光風庭伝」が迎える。その圧倒的な存在感は、日本の伝統美を現代に継承する試みとして象徴的だ。さらに中央には、福岡・大川市の創作家具職人・西田政義氏による巨大なシンボルツリーが設置されている。八芳園の庭園の象徴でもある“松”をモチーフとした作品で、訪れる人に深い印象を与える。季節ごとに趣を変える装飾演出も施されていく予定で、まさに「日本の美意識の凝縮」を体現する場へと生まれ変わった。

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(写真)ロビー組子アートに施された木彫りの夫婦鶴。

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(写真)特別フロア「CLUB FLOOR」4Fの「ROOFTOP TERACE」。

環境配慮の面でも大きな一歩を踏み出した。2025年8月には既存施設として国内で先駆けとなる「ZEB Oriented」認証を取得。空調や照明の省エネ化、断熱強化に加え、ファサードに木材を多用することでCO₂削減にも貢献する。環境配慮型施設として、国際的なMICEにも選ばれることを目指す。

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(写真)「CLUB FLOOR」5Fの「LOUNGE KOKU」。

一方でサービス面では、八芳園初の会員制「CLUB HAPPO-EN」を導入。既に会員数は約3,800名に達し、限定イベントや優待を提供する。さらに法人向けには「CLUB HAPPO-EN for Business」を新設。庭園を望む特別フロア「CLUB FLOOR」を優先利用できるほか、専用エスカレーターで直接アクセスできるラウンジやルーフトップテラスが用意され、ビジネスシーンに新たな価値を加える。

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(写真)「八芳園洋菓子店」の外観。

また、今春開業し注目を集める「TAKANAWA GATEWAY CITY」にも、八芳園は「割烹 BUTAI」と、「八芳園洋菓子店」の2店舗を同時にオープン。「割烹 BUTAI」では江戸をテーマにライブ感あふれる和食を提供し、「八芳園洋菓子店」では常時約100種類のスイーツを展開。話題の新拠点においても、地域に根差しながら日本文化を発信するエリアプロデュースを進めている。

産地直送の恵みを石窯で ―新設された 「ALL DAY DINING FUDO」で感じる“風土”の味。sen
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(写真)看板メニューの「石窯ピザ」をはじめ、野菜を使用した料理を中心に、窯で丁寧に仕上げた肉料理や魚料理が並ぶ。

八芳園本館の3階に新設された「ALL DAY DINING FUDO」は、地域の生産者と深くつながり、旬の恵みを最大限に引き出すオールデイダイニング。ここで使われる食材の多くは、八芳園と連携協定を結ぶ自治体の生産者から直送される厳選食材だ。料理長・小栗直也氏は「料理は料理人だけでなく生産者と共につくるもの」との想いを胸に、産地に足を運び、生産者と対話しながら素材を選ぶ。調理の要となるのが、店内のシンボルでもある石窯だ。400℃を超える高温で一気に仕上げる調理は、旨味を閉じ込め、香ばしさとみずみずしさを同時に引き出す。野菜の滋味、肉の力強さ、魚の繊細さ、まさに「風土」を感じさせる一皿を生み出している。

salvatore_cuomo13salvatore_cuomo13salvatore_cuomo13(写真)上左/「群馬はもんみなかみ すりおろし生ハム」、上右/「窯焼き人参 ロメスコとアーモンドのソース」、中左/「窯焼きオニオングラタンスープ」、中右/「柚子ジントニック」。 下左/「熊本あか牛のロースト 赤ワインソース」、下右/「食感を楽しむ宮城県産アカエイのムニエル」。(※掲載写真は試食会用の特別サイズで、実際の提供内容とは異なる場合があります。)

テーブルを彩る産地直送の食材を生かした多彩なメニューの一端をご紹介しよう。アミューズには「群馬はもんみなかみ すりおろし生ハム」。洋ナシの爽やかさと生ハムの塩味が織りなす上品なアリアージュだ。「窯焼き人参 ロメスコとアーモンドのソース」は、高温の石窯で甘みを凝縮させ、アーモンドが心地よい食感を添える美しい一皿。「窯焼きオニオングラタンスープ」は八芳園の伝統料理を現代に蘇らせたような、深い旨味が魅力だ。肉料理は「熊本あか牛のロースト 赤ワインソース」。赤身のジューシーさと和牛の旨味をシンプルなソースが引き立てる。魚料理では「宮城県産アカエイのムニエル」。軟骨まで食べられる独特の食感で、アカエイの新たな美味しさに出会える。さらに「柚子ジントニック」など、旬の果実やハーブを使ったオリジナルカクテルも料理を一層引き立ててくれる。

salvatore_cuomo13(写真)「ALL DAY DINING FUDO」店内内装。

「ALL DAY DINING FUDO」では、生産者から毎週届けられる新鮮な食材をもとに、その日の素材から料理長が即興で仕上げる“その日だけのオリジナルメニュー”が登場することもある。一部ヴィーガン対応のメニューも取り揃え、幅広いゲストに応える。2025年12月からはアフタヌーンティーの提供も予定されており、家族や友人とのランチやディナーはもちろん、午後のカフェタイムやバーカウンターでの一杯まで、一日のさまざまなシーンを彩る。平日はランチからディナーまで、土日祝日はモーニングも用意。新しく生まれ変わった八芳園とともに、さらなるダイニングシーンの楽しみも広がった。

photo by Masakatsu Ikeda

information


八芳園
所在地:東京都港区白金台1丁目1−1
Tel:0570-064-128(平日 10:00~19:00/土日祝9:30~19:30)
営業時間:当日の宴席状況により異なる

ALL DAY DINING FUDO
場所:八芳園本館 3階
営業時間:月~金曜日 11:00‑21:00(L.O.20:00)/ 土・日・祝日 8:00‑21:00(L.O.20:00)
定休日 :年末年始、その他八芳園の営業日に準じる

取材協力:株式会社八芳園