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誰にも気兼ねすることなく、自分の時間を自分のためだけに使う。そんな贅沢を叶えるために向かったのは、北海道・富良野だ。富良野といえば、国民的テレビドラマ『北の国から』を思い浮かべる人も多いだろう。 雄大な自然の中で紡がれた物語は、今もなお記憶に残る名作だ。シリーズ最終作『北の国から 2002遺言』から四半世紀近い年月が流れた現在も、ロケ地を訪ねる人は絶えない。国際大会が開催されるスキー場を擁することでも知られ、国内外から多くの旅行者が足を運ぶ。そんな富良野に、2023年12月、新たな選択肢が誕生した。富良野初の外資系ホテル「ノゾホテル(Nozo Hotel)」である。ドラマの影響か、富良野と「ひとり旅」という単語はあまり結びつかないかもしれないが、実際に行ってみて実感したのは、「ノゾホテル(Nozo Hotel)」はソロトラベラーにぴったりのホテルだということだ。

富良野の自然を自在に巡るためのベースステイを。 senfukui_01ph01
旭川空港から車で約1時間、あるいは路線バス「ラベンダー号」に揺られて約1時間20分。都会の喧騒を遠くに置き去り、雄大な十勝岳連峰を望む同ホテルはある「富良野スキー場(北の峰ゾーン)」に隣接していて、スキー場から歩いて5分ほどだ。各部屋に1つずつスキーロッカーも用意されている。滑った後に、そのまま大浴場に飛び込める、うれしい気遣いだ。大人のスキー合宿を楽しむのもいいかもしれない。fukui_01ph01(写真)ホテルのエントランスから続く「ブナ バーラウンジ」は、まるでリビングルームのような居心地のよい空間。読書をしたり、音楽を聴いたり、ネットサーフィンをしたり。自由な時間を過ごせる。

ホテル名は“希望”を意味する「望み」に由来する。富良野の圧倒的な自然に身を委ね、ただ自分の望みに従って過ごす。そんな時間は、重たくなった心のOSをアップデートするように、感性を静かに研ぎ澄ませてくれる。

館内は木を基調とした設えで、モダンでありながら温もりを感じさせる空間。まるで海外の山岳リゾートを訪れたかのような印象だ。設計を手がけたのは、40年以上の歴史を持つイギリスのデザインカンパニー「GAグループ」マレーシアスタジオ。客室は全8タイプ78室。ファミリー向けからソロ向けまで幅広いラインアップを揃える。Wi-Fi環境も良好で、ワーケーション滞在にも適している。キッズルームは、ここを我がモノ顔で利用できる子どもがうらやましくなるくらいに洗練されていた。大人の女性が一人で滞在し、「自分」を取り戻すための工夫が随所に施されているのも好印象だ。 fukui_01ph01(写真)ゲストルームは、北海道らしい明るい木材のトーンで全体がまとめられたモダンで快適な雰囲気。

一人旅で選びたいのは、30室を有する「ゲストルーム クイーン」。16〜18㎡とコンパクトながら、無駄を削ぎ落としたインテリアとナチュラルな木の質感が心地よく、窮屈さを感じさせない。ベッド下にはスーツケース収納スペースも確保。窓の外に広がる十勝岳の雪景色は、ただ眺めているだけで心身が浄化されるようだ。夏には鮮やかな緑が広がるという。

ホテル1階にある「Sugi Spa(スギ スパ)」にも何度となく足を運びたい。地元のミネラル豊富な湧き水を沸かした大浴場で宿泊のゲストは無料で利用できる。天井が高く、光が差し込む幻想的な内風呂、凛とした空気の中で楽しむ露天風呂は、日常の心の澱をさらりと流してくれる。本格的なドライサウナと水風呂での温冷浴も、ひとり旅なら自分のペースで心ゆくまで堪能できる。サウナで火照った体を外気浴で鎮め、静寂の中で自分と向き合う。お気に入りのアロマオイルを持参して、入浴後の美磨きに時間をかけるのもひとり旅の醍醐味だ。
fukui_01ph01(写真)Sugi Spa(スギ スパ)。ラドンや高純度ゲルマニウムを含むミネラルとセラミックスをブレンドしたお湯で、深いリラクゼーションを体験できる。

ナチュラルで温かみを感じるインテリアの中、北海道の食を楽しむ。sen
食事もまた気ままに楽しむのがソロ旅のルール。メインダイニングの「シラカバ レストラン」では、「ファーム・トゥ・テーブル(農場から食卓へ)」を掲げ、美瑛、富良野地域で採れた野菜や富良野豚、十勝牛、チーズや小麦など、地元の旬を鮮やかに供する。インド人シェフが手掛ける本格的なバターチキンカレーなどメニューは多彩だ。改めて北海道の食材の豊富さに驚かされる。迷った挙句にオーダーしたのは、「富良野和牛のしゃぶしゃぶ」(1人前からオーダー可能)。野菜の盛り合わせとうどん、ゆめぴりかのご飯がセットになっていて、ひとり旅にぴったりだ。

sen(写真)ブナ バーラウンジ。富良野産のワインをはじめ、世界中のウィスキーファン垂涎の道産ウイスキー、クラフトジン、クラフトビール、日本酒など、北海道ならではの銘柄を取り揃える。

食後は「ブナ バーラウンジ」へ。中央に揺らめくバイオエタノールの暖炉を眺めながら、地元のジンやワインを嗜みたい。スタッフとのさりげない会話から、明日訪れるべき場所のヒントをもらうのもいいだろう。北海道の“美味しい”を取りそろえた朝食ビュフェも見逃せない。(※4月・5月・9月・10月・11月の期間は朝食のみの提供となる。夕食は、館外のレストランを利用する形だが、富良野駅周辺など魅力的な飲食店はいくつもある。フロントで、相談することも可能だ)

senホテルを一歩出れば、富良野の自然が広がる。e-bikeを借りて街を巡るのもおすすめだ。富良野駅近くの「カレー&バー ジャム」では、スパイスを惜しみなく使った本格スープカレーが味わえる。時間が許せば、循環型農業を実践するワイナリー「ドメーヌレゾン」へ足を延ばしてみたい。愛らしいヤギと触れ合いながらワインを試飲し、気に入った一本を自分へのギフトとして持ち帰るのもいい。ナイトウォッチングツアーやサイクリングツアーなどのアクティビティも充実。運が良ければ、野生のキタキツネや鹿に出会えることもある

ロビーでは、「北海道メロンソフトクリーム」を販売している。こちらは、多くの人がイメージするであろう、北海道で食べるメロンソフトそのもの。ジューシーさと濃厚さを併せ持っていて、一人で食べていてもつい「美味しい」と口をついてしまう。寒い時期に、ぬくぬくとした室内で食べるソフトクリームは格別だ。チェックアウト後、名残惜しさを抱えながら、最後にもうひとつオーダーしてみた。これを頬張りながら、次の旅の計画を練るとしよう。

富良野の四季に抱かれ、自分を取り戻す時間。ノゾホテルは、静かに、しかし確実に、旅人の感性を解き放つ場所である。

Text by Aya Hasegawa

information


fukui_01ph01NOZO HOTEL(ノゾホテル)

所在地:北海道富良野市北の峰町14-38
Tel:+81(0)167-23-1088
e-mail:info@nozohotel.com
ホテル正面に20台分の駐車場有。満車の場合には、富良野スキー場第二駐車場をご案内。ホテル間はシャトルバスが運行。※駐車場は予約不要・先着順。