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「静かなラグジュアリーに出会う旅」をテーマに、北イタリアのミラノ、ヴェネチア、そしてロンドンを巡る本特集。前回のミラノ編に続き、今回はアドリア海に浮かぶ水の都ヴェネチアへ。
shiroiya_ph04 かつて約1000年にわたり海洋国家として繁栄を誇ったヴェネティア。運河が織りなす風景は絵画のように美しく、ビザンチンやゴシックが重なり合う街並みには、共和国時代の面影が今も色濃く残る。現代ではビエンナーレが開催される文化都市としての側面を持ちながら、迷宮のような路地に入れば、小皿料理を楽しむ居酒屋「バーカロ」が点在し、親しみやすい日常の風景が広がる。アドリア海の恵みを生かした魚介料理も、この街の魅力のひとつだ。そんなヴェネティアの時間に寄り添うように佇むのが、ファインダイニングを備えた五ツ星ホテル「カディ・ディオ(Ca’ di Dio)」である。

静けさの中に、ヴェネチアの時間が息づく。senヴェネチアでの滞在は、ホテルへのアプローチから始まる。サンタ・ルチア駅やマルコ・ポーロ空港から水上タクシーをチャーターし、運河を通って直接ホテルの船着き場に乗り付けるのがおすすめだ。水上からヴェネチアの景色をゆっくりと味わう時間もまた、この街ならではの特別な体験となる。
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サン・マルコ広場からほど近いアルセナーレ地区に位置する「カディ・ディオ」は、1272年に建てられ、かつては巡礼者の宿として使われていた歴史ある建造物だ。

この建築を手がけたのは、パトリシア・ウルキオラ。歴史的な意匠を尊重しながら現代的な感性を織り込んだ空間は、過去と現在が自然に溶け合うように設計されている。石や木といった自然素材を基調に、光と影、水辺の気配を取り込んだインテリアは、落ち着きの中に気品を感じさせる仕上がりだ。さらに館内には中庭が設けられ、木陰で軽いランチを楽しめるなど、街の喧騒から離れて静かに過ごせる時間も用意されている。

このホテルがSLHに選ばれるもう一つの理由は、単なるラグジュアリーにとどまらない点だ。ラグーンの水を活用した設備や水資源の循環、地元食材を軸とした食のあり方、さらには伝統建築の修復や地域職人との協働を通じて、ヴェネチアという土地と共にある姿勢を体現している。滞在中には、ホテルの案内によりムラーノ島のガラス工房を訪れる機会もあり、地域文化に触れる体験がさりげなく組み込まれているのも印象的だった。

歴史に包まれながら、現代の快適性を享受する。sen
客室は、スイートあわせて66室のみ。歴史的な趣を残しつつ、2021年の開業により現代的な快適性が加えられている。ベッドサイドのUSBポートやゆとりあるバスルームなど、細部まで配慮された設計が心地よく、クラシックとモダンがバランスよく共存している。shiroiya_ph04 静謐な中庭を望むタイプと、サン・ジョルジョ・マッジョーレ島やゴンドラが行き交うラグーンの景色を楽しめるタイプの客室に分かれ、落ち着きと開放感という異なる滞在体験が用意されている。

ラグーンの恵みをミニマルに味わう、現代的ヴェネチアン・キュイジーヌ。sen
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館内には2つのレストランがある。中庭に面した「Essentia」では朝食や軽食などインターナショナルな料理を気軽に楽しめる一方、ラグーンを望むファインダイニング「VERO」では、滞在のハイライトとなるダイニング体験が叶う。どちらも新鮮な魚介を軸としたヴェネチアン・キュイジーヌが味わえる。

館内のレストラン全てを率いるのは、ナポリ出身のシェフ、カルミネ・アマランテ。ハインツ・ベックやドン・アルフォンソ1890などで研鑽を積み、その後、東京の「アルマーニ / リストランテ」でエグゼクティブシェフとして腕を振るった。日本で彼の料理に親しんだ読者もいるかもしれない。

彼の料理は、イタリアの伝統を軸にしながらも、素材の本質を引き出すミニマルなアプローチに特徴がある。ラグーンの魚介や季節の食材を丁寧に扱い、過度な装飾に頼ることなく、味の輪郭を明確に描き出すスタイルだ。その背景には、日本での経験も見え隠れする。四季と魚介に恵まれた文化に共通する感覚が、彼の料理に自然と重なり、現在はヴェネチアという土地の文脈の中で、より研ぎ澄まされた表現へと昇華されている。たとえば、米粒のような形状のパスタを用いた彼のシグネチャー「リソ・ディ・セモーラ」は現在も健在で、サフランには日本・大分県産の高級サフラン「アカイト」を使用するなど、日本での経験が随所に息づいている。リゾットを思わせる見た目でありながら、口にするとしっかりとパスタとして成立している一皿だ。
shiroiya_ph07 shiroiya_ph07 shiroiya_ph07 コースの幕開けは、小エビを使った軽やかなせんべい状の一品や、約66か月熟成の黒豚プロシュートなど、イタリア各地の素材を凝縮したアミューズ。シンプルな構成の中に、食材の力強さが際立つ。続くコースでは、オマール海老に濃厚なソースを合わせた一皿や、ブロードの旨みを引き出した肉料理などが供される。素材の持ち味を生かした構成の中に、味わいの奥行きが丁寧に重ねられているのが印象的だ。

コース中に供されたソフトシェルクラブは、脱皮の時期にしか味わえない食材をシンプルに素揚げにした一皿。その潔さゆえに素材の旨みが際立ち、旬を捉えたミニマルでありながら印象的な仕上がりとなっていた。さらにサバを用いた料理が登場するなど、日本での経験を背景に持つシェフならではの感覚が、コースの随所にさりげなく反映されていることがうかがえる。ヴェネチアという土地の食文化を、現代的な視点から味わうことのできるダイニングとして、記憶に残る存在となるだろう。

Small Luxury Hotels of the World™
スモール・ラグジュアリー・ホテルズ・オブ・ザ・ワールド
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1991年にロンドンで設立された世界的なホテルコレクション。平均約50室以下の独立系ラグジュアリーブティックホテルを中心に、現在では世界100カ国以上・700軒超が加盟する。加盟には約615項目に及ぶ厳格な評価基準が設けられ、80%以上のスコアを満たすことが必須。さらに年1回の覆面調査と必要に応じた再審査により、品質は継続的に担保されている。これらの基準は全加盟ホテルに共有され、世界のどのデスティネーションにおいても、独自の理念と土地の文化を活かした個性豊かなホテルによって、その土地ならではの価値を感じる上質な滞在体験を提供する。
・公式Webサイト:https://slh.com/、日本版:https://www.slhhotels.jp/
・公式SNSアカウント:Instagram:@smallluxuryhotels、Instagram日本版:@smallluxuryhotelsjapan

information


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カディ・ディオ(Ca' di Dio)

所在地:Riva Ca' di Dio, 2183 - 30122 Venezia, Italy
Tel:+39 041 09 80 238
e-mail:cadidio@vretreats.com


PR・取材協力:スモール・ラグジュアリー・ホテルズ・オブ・ザ・ワールド(SLH)、カディ・ディオ(Ca' di Dio)

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